志布志(しぶし)の大楠 | フローリング総合研究所
Other Articles
2022.11.11

志布志(しぶし)の大楠

志布志市の山宮神社は、明治維新以前には「山口六社大明神」と呼ばれていた。島津氏などによって度々社殿の造営修築が行われ、長らく大隅随一の規模を誇っていたという。
祭神として祀られている天智天皇とは深い関わりがあったと伝えられており、境内の鳥居横に聳える御神木「志布志の大楠」も、天智天皇のお手植えであるという。
明治時代初期までは山門の両側にクスノキが立っていたというが、もう1本は枯死してしまったらしい。枯れたクスの基部からは、中世の墳墓と思われる遺物が出土したそうだ。生き残っている大楠の威容を見るにつけ、2本並んだ姿はさぞや壮観であったろうと想像される。
そうはいっても、志布志の大楠も万全の状態であるとは言い難い。基幹部には巨大な空洞があり、四方に大きく張り出した枝には、幾度となく台風や落雷の被害を受けたらしい傷跡が多数見られた。それを保護・保全するための支柱が、いろいろな角度から何本も施されている。国の天然記念物であるがゆえの処置であろうが、重介護の老人を見るようで痛々しい思いであった。

指定:国指定天然記念物
所在地:鹿児島県志布志市志布志町安楽1519-2 山宮神社境内
樹種:クスノキ
樹齢:推定1,200年以上
樹高:24m
幹周:17.1m
撮影:2000年
ABOUT THIS PAGE

このWebサイトではフローリングの⽊材や作り方のこと、歴史や文化のことなど、様々なアプローチから私たちの日々の研究の成果をお伝えします。