蒲生(かもう)の大楠 | フローリング総合研究所
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2020.06.12

蒲生(かもう)の大楠

蒲生八幡神社は、12世紀初めに蒲生家の初代上総守舜清が宇佐八幡宮を勧請して創建したと伝えられている。御神木の「蒲生の大クス」は、創建当初からすでに大木だったらしい。大正初期に編集された『大日本老樹番付』ではこの大クスが西の横綱とされており、1991年に行われた環境庁の調査報告によって、幹周が24mを超える日本一の巨樹だということが数字の上で証明された。空高く伸びる巨大な幹には直径4.5mの空洞が開いているものの、枝葉は境内を覆い尽くさんばかりの勢いである。うねうねと広がる根周りは33m以上にもなり、この太さは世界一の巨木ジャイアントセコイアに匹敵する。1989年に台風が相次いで来たときには境内にあるスギの巨木が何本も倒れたが、大クスだけはびくともせず、枝さえも折れなかったそうだ。
現在は木製の回廊が設置されているため、根を踏むことなく木の周りを巡ることができる。新芽が顔を出す4月上旬に訪れたところ、ボーイスカウトの子どもたちがこの回廊の周りでクスノキの稚苗を小さな鉢植にせっせと移していた。大樹のDNAを保存するための活動で、近くの苗床で育ててから各地の要請に応じて移植を行うのだという。

指定:国指定天然記念物
所在地:鹿児島県姶良郡蒲生町上久徳2259-1 蒲生八幡神社境内
樹種:クスノキ
樹齢:推定1,500年
樹高:30m
幹周:24.2m
撮影:2000年
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