月瀬(つきぜ)の大杉 | フローリング総合研究所
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2022.06.10

月瀬(つきぜ)の大杉

月瀬の集落は、長野県と愛知県の県境に近い根羽村のなかにある。奥深い山里で、カーナビを頼りに三州街道をひた走り、ようやく道路脇に「月瀬の大杉」という大看板を発見した。月瀬の大杉は月瀬神社の御神木で、国の天然記念物に指定されている。簡素な佇まいの社殿があり、その山手にどっしりと根を張って巨大な幹を天高く伸ばしていた。堂々とした貫禄を示す立ち姿は、さすがに樹齢1,800年といわれるだけのことはある。幹周は14mで県下最大であり、スギの巨木としては全国でも第7位にランクインしている。御神木としては古くから虫歯平癒の霊験があるとして信仰が厚く、大枝が折れるのは大事変の前兆であると信じられてきた。長い歴史のなかには伐採の危機もあり、1844(弘化元)年には江戸城本丸焼失後の復興用材として要求され、1908(明治41)年には村内の神社統合の際に売却の話が持ち上がったという。そのたびに、地元の人々が団結して守ってきた。
訪れたのは折しも桜の花びらが舞い散る季節で、のどかな山村風景のなかで撮影できる絶好のタイミングであった。

指定:国指定天然記念物
所在地:長野県下伊那郡根羽村月瀬日影平
樹種:スギ
樹齢:推定1,800年
樹高:22m
幹周:14m
撮影:2011年
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