加茂の大楠 | フローリング総合研究所
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2019.03.03

加茂の大楠

20年の時を経て再会を果たした「加茂の大クス」。最初に訪れたときには樹勢の衰えが心配されていたが、久しぶりの今回は樹齢1,000年の老木とは思えないほど樹勢が回復していた。東みよし町の報告によれば、1988(昭和63)年には13.8mであった幹周が、2007年には16.72mにまで肥大化したという。20年間に、実に3m近い太り方である。遠くから見ても一回り大きく成長したように感じられた。地元で大クスの保護活動が始まったのは1970年代。周辺の農地を買い上げて公園化し、大枝が欠損した部分を補修するなどの策が講じられた。その甲斐あって樹冠の様子は20年前から大きく変化し、森のようにこんもりとしている。比類のない美しい均整を持った樹形は、保護活動が功を奏した好例であろう。吉野川流域の原っぱにポツンと立っているため、これまで幾多の洪水や風害、落雷の災厄に遭ってきたはずである。にもかかわらず、その枝ぶりは東西52メートル、南北42メートル、高さ26メートルに及ぶ見事なもので、幹には目立つ空洞もない。今なお成長を続ける生命力には、ただただ感服させられた。千年の命を、これからも次代につないで大切に守ってゆきたいものである。写真は、近隣にお住まいの方のお参り姿をちょうどキャッチするチャンスに恵まれたワンショット!

指定:国指定特別天然記念物
所在地:徳島県三好郡東みよし町加茂1482
樹種:クスノキ
樹齢:推定1,000年以上
樹高:26m
幹周:約16.72m
撮影:2012年
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