来宮(きのみや)神社の大楠 | フローリング総合研究所
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2023.06.09

来宮(きのみや)神社の大楠

クスノキは大きく育ちやすい樹種なのか、2001年に環境省が行なった調査によれば、全国巨樹ベスト10のうちの6本はクスノキである。寒さに弱く温暖な気候を好む性質であるため、6本中5本は九州が独占しているが、1本だけは静岡県からランクインしている。それが、全国第2位の「来宮神社の大楠」である。
神社本殿の奥に堂々と鎮座するこの巨樹は、樹齢2,000年と推定されている。動けない宿命の下、数多の試練を乗り越えてきた凄まじい生き様を、そのまま表現しているような樹相であった。
太い根は地面に盛り上がって波打ち、赤味がかった幹には瘤状の隆起がいくつも見られる。主幹は根元から2つに分かれているが、残念なことにその一方は1974(昭和49)年の台風14号で折れてしまったといい、地上5mのあたりから失われていた。人間の老人と同じで、長く生きていると傷んだところのないものの方が稀である。それでも今なお、旺盛なる樹勢を保っていることは心強い限りである。我が国の大切な宝として守ってゆきたい。

指定:国指定天然記念物
所在地:静岡県熱海市西山町43-1 来宮神社境内
樹種:クスノキ
樹齢:推定2,000年
樹高:20m
幹周:23.9m
撮影:2015年
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