報恩寺の大ソテツ | フローリング総合研究所
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2019.10.15

報恩寺の大ソテツ

「紀州・木の国」といわれるほどなので、和歌山県にはたくさんの巨樹があるだろうと期待していたが、実際は全国でも珍しいくらい国の天然記念物に指定された樹木の少ない県であった。そんななかで見つけ出した巨樹は、熊野古道沿いに立っていた。平安時代中期の創建と伝えられ、「南海道善光寺」とも呼ばれる報恩寺のソテツである。
ソテツといえば庭木のイメージが強く、「巨樹」と呼べるようなものがあるとは思っていなかった。しかし、「報恩寺の大ソテツ」はそんな予想を見事に裏切る威容であった。幹周りは約3m。本社の前で3本の大枝をそれぞれ大きく広げ、ツヤのある葉を茂らせている。広大な境内には大小10本ほどのソテツが植えられているが、この大ソテツの存在感は群を抜いていた。南方の植物であるソテツが庭木として植えられるようになったのは室町時代からであると考えられており、当時は非常に貴重な品であったようである。報恩寺にこれほどの樹齢のソテツがあるということは、古くから厚い信仰を集めていたということの表れかもしれない。

指定:特になし
所在地:和歌山県和歌山市吹上1-6-38 報恩寺境内
樹種:ソテツ
樹齢:推定350年
樹高:7m
幹周:3.3m
撮影:2011年
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