2019.02.19

2015 ミラノサローネレポート[前編]

建築がもつデザインの可能性

世界最大規模のデザインイベント「Salone del Mobile Milano(ミラノサローネ)。 今年も世界170ヶ国から約32万人の来場者があり、活況を呈しました。5月よりミラノ万博があってか、ミラノの街は例年以上に活気に満ちていたように感じました。本会場であるローフィエラには2100社を超えるメーカーが出店し、市内各所で350を超えるイベントが開催されるミラノサローネの経済効果は、2億5千ユーロ(330億円)に及ぶとも言われています。インテリアとデサインの世界で圧倒的な影響力をもつ展示会ミラノサローネ。ここでは、世界中の先鋭的なデザイナー達によって新たなコンセプトとデザインが提案され、これからのインテリアとデザインに大きな示唆を与えてくれます。今回は、このミラノサローネ2015トレンド報告を通じて、「建築がもつデザインの可能性」について考察したいと思います。

nendoが木質フローリング「stream」を発表

世界的デザイナー佐藤オオキ氏を率いるデザインオフォスnendo*1。エルメス、ルイヴィトン、バカラ、スターバックスなど名だたるブランドのデザインを手掛け、世界でもっとも注目を集めるnendoが、今年のミラノサローネで新しいコンセプトのフローリングを発表しました。名前は「LiveNaturalプレミアム stream」。

建材メーカー朝日ウッドテックが発表を予定している「Live Naturalプレミアム」デザインラインの1モデルです。発表は、ミラノ市内のペルマネンテ美術館全館を使って開催された個展「nendo works 2014-2015」で行われました。nendoがデサインを手掛けた、当社を含む国内外のブランド19ブランド33コレクションの新作を中心に展示されました。

空間に速度を生むフローリング

今回、nendoがデザインしたstreamのコンセプトは「空間に速度を生むフローリング」。横目地をなくし縦方向のみとすることで、流れを生み出すとともに、縦目地の間隔(ピースの幅)パターンを3種類用意し、廊下などの人が移動する場所は流れを早くしたり、窓に面した広い空間はゆっくりと外部に意識が向かうなど、場所によって速度感の変化を付けられるよう、組み合わせて使うという新しい発想から生まれた床材です。今回の展示では、コンセプトを強調するために、複数色の着色を施し、ピースを並び替えることで速度感を演出していました。ミラノサローネでの床材の作品は珍しいこともあり、来場者の大きな注目を集めました。

(*1) 佐藤オオキ デザインオフィスnendo代表 … 建築、インテリア、プロダクト、グラフィックと多 岐にわたってデザインを手掛ける。2006年 Newsweek誌「世界が最も尊敬する日本人100人」に選出され、その後Wallpaper誌(英)、ELLE DÉCOR誌をはじめとする世界的なデザイン賞の数々を受賞
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[トレンド分析] キーワードは「シックモダン&エレガント」

公式プレス発表によると、海外からの業界関係者の来場者数は全体の69%を占め、第一位は中国からの来場であったとのことでした。しかし実際の現地では数年前に比べて中国人がずいぶん少なくなった印象を持ちました。同時に昨年までいたるところに散見された中国の富裕層を意識したような派手なインテリアも影を潜め、グレーやベージュを基調とした非常にシックでエレガントなインテリアが例年以上に目立ちました。また、モダンとクラシックの融合を展示のコンセプトとするメーカーが多く、新しい作品とクラシックな作品を組み合わせて見せたり、ファブリックの素材にベルベットなど、柄にチェックや幾何パターンを用いてラグジュアリー感とクラシカルなテイストを加えた作品やコーディネートが多く見られました。

  • CarlHansrn&Son
  • Minotti
  • Molteni&C
  • Poltrona Frau
  • Porada
  • cassina
  • Poloform
  • B&B ltalia
  • NATUZZI

[木質トレンド] オークとウォルナット、そして注目はユーカリ

Porada

ここ数年、オークとウォルナットが全体の70%-80%を閉める二大定番樹種として推移してきておりますが、今年は去年に比較すると一番手のオークの比率が少し下がり、ウォルナットの存在感が強くなっていた印象です。オークでは、モカやブラウンなどの濃色に着色してしようされるもの、また今年は特にグレー着色したものが多かったのですが、クリアでの仕様も少し増加傾向に感じました。濃色表現については、熱処理(スモーク)が定番になりつつあります。グレー着色はベージュに近い明るく淡いものからダークなものまで非常に幅広く見られました。しかしいずれも木の素材感は木味感を感じられる上質な仕上げが施されているのが印象的でした。そして、注目すべきはユーカリです。トレンドをけん引きする世界屈指のブランド「Molteni&C」が大々的に採用し、またイタリアモダンの老舗ブランドである「Girgetti」や「Casa milano」などといった複数のメーカーで確認することが出来ました。いずれも柾目使いで熱処理(スモーク)によって濃色に着色されていましたが、今後、世界的に価格が高騰しているウォルナットをはじめとする濃色系樹種の代替としても早生植林ユーカリの化粧材としての活用が注目されています。

  • Porada
  • LEMA
  • LIVING DAVANI
  • Porada

[木質トレンド] きれい目な木目遣いと上品な仕上げ

インテリア全般のシックでエレガントなトレンドに合わせて、木質化粧についても去年までのラスティック過多の傾向が弱まり、今年はきれい目な木目使いが非常に多かったように思います。塗装仕上げとしてはやはり素材感を感じられるマットなものが主流でした。また、オークやアッシュなどの環孔材は、はっきりと年輪が出てくる木目を活かした浮き造り調の凹凸仕上げもよく見られました。

  • Poliform
  • MisuraEmme
  • Caccaro
  • Minotti
  • GIRGETTI
  • Casa MIlano

デザイン界のアカデミー賞と称される「エル・デコ・インターナショナルアワード」授賞式に参加

「エル・デコインターナショナルデザインアワード」ベット部門はnendoが受賞

材の欠損部分を透明の樹脂で固めた迫力のデザイン「Riva 1920」

ニュージランドの巨木かウリ材(アガヂス)を使ったテーブル。「Riva1920」

ウォルナットの橋材を使ったテーブル「Riva1920」

こちらも端材同士を透明の樹脂で繋いでいる。「Riva1920」

マルセル・ワンダース率いる「moooi」。
写真をリアルにプリントする最新の技術をつかった前衛的な展示

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このWebサイトではフローリングの⽊材や作り方のこと、歴史や文化のことなど、様々なアプローチから私たちの日々の研究の成果をお伝えします。