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2020.04.03

薫蓋樟(くんがいしょう)

大阪府門真市の三島(みつしま)神社は、住宅地の一角に鎮座している。決して広くはないその境内を覆い尽くすように屹立しているのが、「薫蓋樟」と呼ばれるクスノキの大樹だ。
環境庁の『日本の巨樹・巨木林』調査において府下最大の木に認められており、まさしく「一樹で森をなす」という風情である。1989年に「大阪みどりの百選」の府民投票が行われた際には、この巨木が一番人気であったらしい。
枝張は東西に約34m、南北が約33m。うねりくねった大枝を四方に広げた姿は、天空に向かって飛び立たんとする巨竜の姿のようでもある。香り高く美しい緑の葉を茂らせ、旺盛な樹勢を示している。「薫蓋樟」という風雅な名前の由来となったのは、江戸時代末期の公卿であり、明治維新において岩倉具視らとともに活躍した千種(ちぐさ)有文が詠んだ歌である。樹前には歌碑があり、「村雨(むらさめ)の雨宿りせし唐土(もろこし)のまつにおとらぬ楠ぞ此のくす」と記されていた。込み入った住宅地において、この木のダイナミックさは不釣り合いに感じられるほどである。悠然と立ち続けるその威容には、誰もが驚かされることだろう。

指定:国指定天然記念物
所在地:大阪府門真市三ツ島1374 三島神社境内
樹種:クスノキ
樹齢:推定1,000年
樹高:27m
幹周:13.4m
撮影:2000年
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