
東照宮のコウヤマキ
栃木県日光市にある日光東照宮は、徳川家康公を祀る神社として知られ、世界遺産「日光の社寺」の構成資産にも登録されています。境内には数多くの杉の巨木が立ち並び、荘厳な空間を形づくっています。
その中で、表門を入って左手に目を向けると、石柵に囲まれた中にひときわ整った樹形を持つコウヤマキが高くそびえています。樹高約38メートル、幹周約4.5メートルを誇り、コウヤマキとしては非常に大きな規模を持つ巨樹です。
コウヤマキは、日本固有の温暖性常緑針葉樹で、和歌山県の高野山周辺に多く自生することで知られています。寒冷な気候の日光でこれほどの大木に成長する例は珍しく、東照宮のコウヤマキは貴重な存在とされています。
また、コウヤマキは自然に整った円錐形の樹形が美しいことから、「世界三大美樹」あるいは「世界三大庭園樹」の一つとして知られています。端正な姿と品格を備えた樹木として古くから庭園樹や社寺林に用いられ、悠仁親王殿下のお印にも定められています。
この東照宮のコウヤマキは、徳川三代将軍・徳川家光公のお手植えと伝えられており、「栃木名木百選」にも選定されています。周囲の杉並木とは異なる柔らかな葉姿と整った樹形は、東照宮の境内でも独特の存在感を放っています。
長い年月を経てなお美しい姿を保つコウヤマキは、日光東照宮の歴史とともに現在も境内に立ち続けています。
所在地:栃木県日光市山内2301
樹齢:370年
樹高:38m
幹周:4.5m
撮影:2018年 ※一部CG加工済み
付近の立ち寄り情報
神厩舎 ~見ざる・聞かざる・言わざる~
東照宮のコウヤマキのすぐ近くには、「見ざる・聞かざる・言わざる」で知られる三猿の彫刻が掲げられた「神厩舎(しんきゅうしゃ)」があります。
神厩舎は、神様に仕える神馬をつなぐための厩(うまや)で、東照宮境内でも人気の高い建物のひとつです。
三猿の彫刻は、「悪いことを見ない・聞かない・言わない」という教えを表したものとして広く知られていますが、実際にはそれだけではありません。神厩舎には全部で8面の彫刻が施されており、猿の姿を通して人の一生や成長の過程を表現していると伝えられています。
有名な「見ざる・聞かざる・言わざる」だけでなく、それぞれの場面に込められた意味を辿りながら鑑賞すると、東照宮の彫刻文化の奥深さを感じることができます。
コウヤマキとあわせて訪れることで、日光東照宮の歴史や思想、美しい意匠をより深く楽しめるスポットです。




