

御岩神社の三本杉
茨城県日立市の山あいに鎮座する御岩神社は、御神体である御岩山の麓に広がる古社です。創建の時期は明らかではありませんが、『常陸國風土記』(721年)には御岩山の古称である「かびれの高峰」に天つ神が鎮まると記されており、古代より信仰の聖地であったことがうかがえます。
御岩山には国之常立神、大国主神、伊邪那岐神、伊邪那美神、大山祗神をはじめ多くの神々が祀られ、山全体で188柱の神々を祀る霊場とされています。中世には山岳信仰とともに神仏習合の霊場として栄え、江戸時代には水戸藩初代藩主・徳川頼房公により出羽三山が勧請され、水戸藩の祈願所として歴代藩主の参拝が続きました。境内には古代信仰や神仏習合の痕跡が今も残り、独自の信仰を伝えています。
この場所には、神秘的な逸話も数多く残されています。アポロ14号の宇宙飛行士エドガー・ミッチェル氏が宇宙から地球を眺めた際、特に強く光を放つ地点があり、その位置が御岩神社付近であったと語ったといわれています。また、日本人女性初の宇宙飛行士・向井千秋氏も、日本列島の上に光の柱のようなものが見えたと話したことが伝えられています。こうした逸話から、御岩神社は神秘的な場所として語られることもあります。

御岩神社の境内に立つ「三本杉」は、御神木として知られる巨杉です。地上約3メートルの位置から幹が三つに分かれ、それぞれがほぼ同じ高さで天へとまっすぐ伸びる特徴的な姿をしています。その壮大な姿から「三本杉」と呼ばれ、茨城県の天然記念物に指定されています。
また、この杉は「天狗杉」とも呼ばれ、三つ又の部分に天狗が棲んでいたという伝説が伝えられています。天狗は参拝者をからかったり驚かせたりしたとされ、子どもたちはこの木の下を一人で通ることを恐れていたといわれます。山岳信仰の霊場であった御岩山には修験道の修行者も多く、こうした山の神秘を伝える天狗の伝説が生まれたと考えられています。
今回、東京出張の合間を縫って念願の地を訪れ、ご神体である御岩山にも登拝しました。樹々の間を抜ける風や、苔むした岩肌、山の気配。その一つひとつに励まされ、あらためて「自然とともに生きる」というテーマを考えさせられる時間になりました。
自然の力に触れたい方、心を整えたい方は、足を運んでみてはいかがでしょうか。きっと、木々と神々の気配がそっと迎えてくれるはずです。
樹齢:推定600年
樹高:60m
幹周:8.4m
撮影:2018年
