清武の大楠 | フローリング総合研究所
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2025.09.03

清武の大楠

宮崎市・船引神社の御神木である「清武の大楠」は、県下最大のクスノキである。里山の麓の平地に立っているため、どの角度からも全体像を見ることができる。支柱などもなく、樹齢900年と推定されているにしては非常に珍しい健全な状態であった。1993年には台風で大枝が折れるなどの被害を受けたものの、その後は順調に成長しているという。
最大の特徴は、幹周13mの主幹に口を広げた大きな空洞である。内部は高さ9m、底部は8畳ほどもあり、戦時中は防空壕として使われたこともあるようだ。空洞のある巨樹は多いが、この木のように貫通しているものはめったに見られない。空洞のやや上方、高さ5mのあたりからは主幹が2本に分かれており、両手を広げているかのようであった。
原生林時代から、クスノキは照葉樹林のなかで優勢樹として生き残り、その地位を占めてきたのであろう。根幹部が空洞になるのは、モンスーン地帯特有の台風や落雷による傷跡から腐食が進行したためとみられている。むしろ空洞を抱えながらなお、長年にわたり大樹の威厳を保っているといえる。

指定:国指定天然記念物
所在地:宮崎県宮崎市清武町船引7074-3 船引神社境内
樹種:クスノキ
樹齢:推定900年以上
樹高:35m
幹周:13.2m
撮影:2000年
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