岩倉の乳房(ちち)杉 | フローリング総合研究所
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2019.03.03

岩倉の乳房(ちち)杉

隠岐(おき)というと後鳥羽上皇や後醍醐天皇などが配流された離島という暗いイメージを抱かれるかもしれないが、実際は風光明媚な土地である。とくに隠岐四島のうち最大である島後(どうご)には固有の動植物が豊富に生息しており、多くのスギの巨木を見ることができた。
なかでも有名な「岩倉の乳房杉」は、島の北東部に位置する大満寺山の山頂付近に立っている。日本海の外界に面して厳しく切り立った急斜面という、厳しい環境にあった。山内にある岩倉神社の御神木である。
乳房杉の主幹は高さ約3mのあたりから47本の枝幹に分かれ、そこからスギには珍しい気根が24本垂れ下がっている。気根のなかでも最大のものは長さ2m、周囲1.9mに達しており、まさに異形ともいうべき樹相だった。この気根の先端から白乳色の液が出ることがあるといい、母乳の神様として信仰されている。
木の周囲は山頂から崩れてきた岩に覆われているため表土がほとんどなく、地中から水分を取り込むことができない。一方、湿度は高いため、空気中の水分を取り込むはたらきのある気根が発達したと考えられている。

指定:県指定天然記念物
所在地:島根県隠岐郡隠岐の島町布施
樹種:スギ
樹齢:推定800年
樹高:38m
幹周:9.6m
撮影:2000年
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