
陶芸やガラスの工房を含む広場として整備された「吉野工芸の里」。そのシンボルとなっているのが、樹齢680年といわれる巨樹「御仏供スギ」である。地元では、「おぶく」ではなく「おぼけ」と呼ばれている。国道157号線沿いに聳(そび)えているため、車中からも遠望することができた。室町時代、吉野の山中に祇陀(ぎだ)寺を開いた禅僧・大智の手植えと伝えられている。「御仏供」とは、仏前に供えるご飯のことである。関西では「おぶっぱん」といい、かつては毎朝炊き上がりをお供えすることが習いとなっていた。丸くこんもりとした樹冠がその形によく似ていることから命名されたのであろう。
日本のスギは、太平洋側に生息するものが「オモテスギ」、日本海側に生息するものが「ウラスギ」と総称される。ウラスギの代表的な種は多雪地帯に自生するアシウスギ(芦生杉)で、御仏供杉もおそらくこれであろう。直立するのではなく側枝が地を這うように下方へ伸びて、そこから根付く。豪雪にもよく耐えられる樹形である。
御仏供杉の樹勢は今なお旺盛で、さらに成長を続けているようだった。仏教への信仰が厚い地域に根付いたことで、これまで大切に保存されてきたのだろう。
指定:国指定天然記念物
所在地:石川県白山市吉野春
樹種:スギ
樹齢:推定700年
樹高:24m
幹周:7.2m
撮影:2014年
所在地:石川県白山市吉野春
樹種:スギ
樹齢:推定700年
樹高:24m
幹周:7.2m
撮影:2014年
