複合フローリングには大きく分けて「挽き板フローリング」と「突き板フローリング」の2種類があります。これらの違いをご存知でしょうか?
本記事では、両者の構造や質感、耐久性の違いを設計の実務視点でわかりやすく解説。また、無垢そのものの素材感と機能性を両立した複合フローリングの魅力や、プロジェクトに最適な床材の選び方までをご紹介します。
1.フローリングの種類と特徴:無垢・挽き板・突き板の違いと選び方
「木質フローリング」は、構造・製法によって、単層構造の「無垢」と、多層構造の「複合(合板)」に大別できます。それぞれの特徴をご紹介します。
1-1.単層フローリング(無垢)と複合フローリングの違い
単層(無垢)は丸太からそのまま切り出した1枚の天然木です。木本来の風合いに優れる反面、温湿度変化による伸縮で隙間(スキ)や反りが生じやすい特徴があります。
●無垢フローリング 床暖房使用時の不具合事例

この無垢材特有の動きを抑え、安定した性能を実現するために開発されたのが「複合フローリング」です。合板などの基材に天然木化粧材を貼り合わせた構造で、基材が伸縮を抑え込むため高い寸法安定性を発揮します。
複合フローリングは、表面化粧材の厚みと製法によって「挽き板」と「突き板」に分かれます。

1-2.挽き板フローリングとは:無垢の質感と複合の安定性を兼ね備えた厚物化粧材
挽き板とは、天然木をのこぎりで引き挽いて切り出した2mm〜3mm程度の厚みのある板材です。この厚物化粧材を合板の基材に貼り合わせた床材で、無垢とほぼ変わらない立体感や足触りを持ちながら、無垢材(オークやウォルナットなど広葉樹)と比較すると寸法変化率を約10分の1に抑えられるなど、高い寸法安定性を備えています。
1-3.突き板(突板)フローリングとは:コストと意匠性を両立する薄物化粧材
突き板とは、天然木をナイフでスライスした0.3mm〜0.5mm程度の極薄シートです。この薄物化粧材を基材に貼り合わせた床材で、1本の原木から多くの面材を確保できるため、本物の木の上質な表情を活かしつつコストを抑えられるのが特長です。

1-4.挽き板・突き板・無垢を4つの視点から比較
「挽き板」「突き板」「無垢」の特徴を正しく理解することで、プロジェクトに応じた最適な使い分けが可能になります。重要な4つの視点(木質感・お手入れ・寸法安定性・傷への強さ)の比較は以下の通りです。
①木質感(見た目・足触り): 挽き板は厚みのある木層により溝まで木質感が現れ、無垢同等の重厚感と温かみを実現します。突き板は繊細で平滑な美しい木目が整い、モダンな印象を与えます。いずれも本物の天然木のため風合いや経年変化を楽しめます。
②お手入れ(メンテナンス性): 挽き板・突き板などの複合フローリングは表面塗装により、日常のお手入れは掃除機や固く絞った雑巾掛けで完了します。ワックス不要な製品も多く管理が手軽です。一方、無垢材(特にオイル仕上げ)は水拭きの制限や定期的なオイル塗布が必要です。
③寸法安定性(環境変化への強さ): 基材(合板等)を持つ挽き板・突き板は、温湿度変化による反りや隙間が生じにくく、床暖房にも対応しやすい優れた安定性を誇ります。一方、無垢材は環境によって伸縮・変形しやすく配慮が必要です。
④傷への強さ(表面耐久性):まず、傷の種類によって違いがあり、擦り傷なら表面塗装性能の影響が大きく、凹み傷なら樹種の硬さと基材の硬さの影響が大きくなります。
突き板は表面材が0.3~0.5mm程度と薄いため、基材の硬さの影響を受けやすく、硬質な複合基材を採用した製品では凹みに強いものが多くあります。
挽き板は表面材に厚みがあるため、基材よりも樹種本来の硬さの影響を受けやすく、樹種によって凹み傷の付きやすさが異なります。
無垢材も同様に、樹種本来の硬さが凹み傷の付きやすさに反映されます。
1-5.「無垢が一番」は思い込み?
無垢材は木本来の良さを楽しめる人気のある床材です。とはいえ自然素材なので、反りやスキ、割れを完全に防ぐことが難しい、床暖房に対応しにくい、傷や凹みがつきやすいなどのデメリットがあります。
一方、挽き板や突き板の複合フローリングは「本物の木の質感」と「工業製品としての優れた安定性」を兼ね備えた床材です。設置環境に左右されず意匠性と機能性を両立できるため、高品質で合理的な選択肢といえるでしょう。
2.なぜ挽き板・突き板は商業施設やオフィスで選ばれるのか

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非住宅空間(オフィス・店舗・ホテルなど)の設計で天然木を使った床材を使用する場合、複合フローリングが多く採用されています。なぜ複合フローリングが選ばれているのでしょうか。
2-1.高トラフィック環境に耐えうる優れた表面耐久性
不特定多数が行き交う商業施設やオフィスでは、土足での歩行、キャスターやハイヒールによる局所的な荷重など、床に過酷な負荷がかかり続けます。無垢材(特にオイル仕上げ)の場合、擦れによる黒ずみや傷・凹みが目立ちやすい傾向があります。
これに対し、高性能な表面コーティングを施した挽き板や突き板なら、擦れや摩耗、歩行による負荷がかかっても傷や凹みが付きにくく、美しい意匠性を維持しやすくします。
2-2.反りや変形を防ぐ、複合フローリングならではの寸法安定性
非住宅では、空調による乾燥や広い施工面積、長時間の連続運転、人の出入りに伴う温湿度変化などが発生します。そのため、反りや収縮、隙間が生じにくい素材を選ぶことが、きれいな納まりや美観の維持に直結します。
合板を基材とする突き板・挽き板なら、環境変化による変形が起きにくく、年間を通じてフラットな床面を維持しやすくなります。
2-3.空間価値を高める天然木の美しさと、メンテナンス性の高さを両立
近年、オフィスなどの非住宅建築における「バイオフィリックデザイン(空間への自然要素の導入)」が注目されています。変形リスクが少なく、手入れの手間も抑えられる挽き板や突き板は、美しい状態をキープしつつ、木のぬくもりも楽しめます。その天然木の質感は、空間の価値や企業イメージを高める効果的な要素となるでしょう。
2-4.フリーワックス仕様や衛生・機能コーティングによる施設対応力
定期的なワックス掛けは作業負担が大きく、一時的・部分的に施設を閉鎖しなければならないかもしれません。挽き板や突き板には「フリーワックス仕様」を選択できる製品が多く、日々の清掃負担を大きく軽減します。
さらに、抗ウイルス・抗菌加工や、アルコール消毒に耐えるような機能性の高いコーティングを施すことも可能です。見た目の良さだけでなく高い衛生管理が求められる現代の施設環境にフィットする床材だと言えるでしょう。
3.朝日ウッドテックの挽き板・突き板フローリングが選ばれる理由

3-1.挽き板製品:天然木2mmの圧倒的な質感と優れたバランスで空間ブランドをつくる
挽き板フローリングは表面に2mmの厚みを持つ天然木を使用しており、無垢材と同等の重厚感と豊かな質感を備えています。基材との複合構造により優れた寸法安定性を保ちながら、空間全体のブランド価値や上質感を大きく引き上げます。
3-2.突き板製品:高いコストパフォーマンスで幅広い施設要件に応える
突き板フローリングは、ほぼすべてのシリーズに網羅されており、本物の美しい木目を活かしつつ高いコストパフォーマンスを実現します。予算を抑えつつ、ホテルでの防音対応、オフィスリノベーションでのOAフロア対応など、多様な施設要件に幅広く対応できます。
3-3.両製品共通:清潔な空間を保つハイジェニック仕様(SIAA認証・抗ウイルス・抗菌)
同社のパブリック向けフローリングはSIAA認証を取得した独自の「ハイジェニック仕様」を標準採用しています。
・抗ウイルス・抗菌性能(ウイルスや細菌の数を減少させる)
・耐薬品性能(アルコールや次亜塩素酸ナトリウムが使用可能)
・耐汚染性能(頑固な汚れも簡単に清掃可能)
・室内空気環境性能(シックハウス対策・国内最高レベルの基準クリア)
これらの衛生・環境性能を高いレベルで備えることで、天然木の風合いを損なうことなく、医療・福祉施設や文教施設、オフィスなどで求められる高度な衛生管理に対応します。
3-4.豊富な樹種ラインナップと施設(オフィス・ホテル・店舗・福祉など)への施工事例
オーク、ウォルナット、ブラックチェリー、ハードメイプルなど、天然木の表情を活かした豊富な樹種・木目のラインナップを展開。商業施設、ホテル、オフィスから保育園・文教施設、医療・福祉施設まで、全国の多彩な空間で幅広く採用されています。
4.挽き板・突き板選びで後悔しないための確認ポイント
挽き板と突き板はそれぞれに異なる魅力と優れた機能性を備えており、選定の際にはデザインや意匠性だけでなく、使用環境や予算などを丁寧に見極めていくことが大切です。多彩な製品を揃える朝日ウッドテックのラインナップなら、意匠性と機能性のバランスが取れた、理想の空間にふさわしい最適解へたどり着くことができるでしょう。
参照リンク:
朝日ウッドテック 非住宅フローリング 「メッセージ」
記事監修:辻 久(つじ ひさし)

一級建築士。INA新建築研究所を経て独立し、建築設計due代表を務める。現在まで20年以上、一級建築士事務所を運営し、住宅、店舗、集合住宅、医療福祉施設など多数の設計監理実績がある。










