オフィスのリノベーションを成功させる床材選び|働きやすさとデザインを両立する選定基準 | フローリング総合研究所
2026年7月9日 最終更新

オフィスのリノベーションを成功させる床材選び|働きやすさとデザインを両立する選定基準

 

 

オフィスのリノベーションにおける床材の選定は空間の印象だけにとどまらず、従業員の生産性やウェルビーイングにも影響を与える要素として注目されています。かつてオフィスの床材に優先されていた要素といえば経済性や機能性でしたが、働き方が多様化する現代では「機能」以上の付加価値が求められているのです。

ならば、オフィスの床材は何を基準に、どのように選ぶべきでしょうか。本記事ではオフィスに見られる最新の動向を踏まえ、床材選定の基準を建築士の視点から解説します。

1.オフィスリノベーションのトレンド:選ばれる床材の「役割」の変化

現代のオフィスにおける床材は、単なる仕上げ材から「働き方をデザインする装置」へと進化しています。そして、その背景にあるのが業務内容やその日の気分に合わせて働く場所を選ぶワークスタイル「ABW(Activity Based Working)」の普及です。ここでは、働き方改革を推進する現代のオフィス設計において、床材が担う新たな役割について解説します。

1-1.「作業する場所」から「コミュニケーションを促す場所」へ

かつてのオフィスは効率を重視した「作業場」であり、たいていは整然とデスクが並ぶ無機質な空間でした。しかし、個々の作業がリモートで完結できる現代、オフィスには「チームの帰属意識」や、「偶発的な発想」を生む場としての役割が、より強く求められるようになりました。

こうした変化を受けてワーカーの心理的な緊張を和らげるとともに、リラックスした状態で対話や議論ができる空間を作ることが、オフィスリノベーションの大きな目的になっています。

1-2.バイオフィリックデザインの導入:木質感によるストレス軽減

ワーカーのストレス軽減に役立つスタイルのひとつとして挙げられるのが、オフィスに自然の要素を取り入れる「バイオフィリックデザイン」です。特に視覚的に大きな面積を占める「床」の木質化は、心理的なリラックス感につながるとされています。観葉植物などの「点」だけでなく、床という大きな「面」で自然を感じさせることは、ウェルビーイング実現のカギとなります。

オフィスに求められるバイオフィリックデザインに関する記事もございます。ぜひそちらもあわせてご参照ください。

1-3.ゾーニングの活用:床材の切り替えによる「視覚的分離」

オープンなオフィスでは、オン・オフの切り替えが課題です。そこで大きな効果を発揮するのが、床材の切り替えによるゾーニングです。

執務エリアは静かな空間づくりに適したカーペット、リフレッシュエリアは開放的なフローリングなど、環境や目的に合わせて床材を貼り分けることにより、ワーカーの心理状態を無理のない形で自然に誘導し、限られたスペース内での機能的な分離ができます。

2.失敗を防ぐ!オフィス床材に必須の「4つの技術要件」

オフィスの床材を選定する際は、住宅用と違う視点で検討することも必要です。不特定多数が利用する土足環境や、OAフロアという特殊な床構造、さらには将来的な運用コストなど、オフィスならではの条件下で、安定した品質を保つ必要があるためです。

ここでは、長期的な使い心地と管理のしやすさを支える実務上のポイントを4つ紹介します。

2-1.OAフロアへの適合性

多くのオフィスでは配線を床下に収めることを目的に、OAフロアと呼ばれる浮き床構造(二重床)が採用されています。下地パネルの目地(ジョイント)に起因する浮きや異音を抑え込むには、上の床材を専門的な工法で丁寧に貼ることが必要となります。また、上の床材が下地パネルの規格に合っていること、つまり整合する最適な寸法設計も求められます。

さらに、将来的に退去する時の「原状回復」を見据え、下地を傷めずに撤去できる工法を選ぶことは、中長期的なコスト管理において有効な対策となります。

2-2.歩行の安全性と施工性

オフィスで使われている標準的なタイルカーペットの厚さは6〜7mmです。もし、隣り合う場所に厚みのある床材を貼り合わせると、段差が生じてつまずきやすくなるかもしれません。床高が上がるとドアの開閉に干渉するため、建具をアンダーカット(削り加工)するなど、余分な追加工事が発生することもあります。

このような事態を避けるためにはカーペットと厚みを揃えた薄型の床材を選ぶことが有効です。こうすることで付帯工事の手間が省け、フラットで安全なバリアフリー空間を、合理的なコストで実現させることができます。

2-3.キャスター耐久性

オフィスチェアのキャスターというのは、床材にとって非常に大きな負荷になります。実際、住宅用のフローリングではキャスターの旋回や移動の繰り返しで、表面が剥がれたり基材が凹んだりするトラブルが頻発します。オフィスでの使用を想定した床材には荷重や表面の摩耗に強く、より高度な耐久性能を持っていることが必須条件となるでしょう。

2-4.メンテナンス性

オフィスという広大な空間では、維持管理のしやすさが運用コストに直結します。理想的なのは定期的なワックス掛けが不要な「ワックスフリー」の性能に加え、汚れが染み込みにくく日常の拭き掃除だけで美観を維持できる清掃性の高い床材です。

導入時に必要となる初期費用だけを重視するという端的なものの見方ではなく、将来的なメンテナンス費を含めた「ライフサイクルコスト(LCC)」を最適化する視点が、建物の長期的な価値を守っていく上では重要な視点となります。

3.【素材別】オフィス床材の比較|メリット・デメリット

メッセージオフィス 突き板|オフィスの床事例
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オフィス空間に求められる機能はエリアごとに異なるため、床材もそれぞれの用途に合わせた「適材適所」の選定が重要です。ここでは代表的な3つの床材を取り上げて実務的な視点から見たメリット・デメリットを整理します。

3-1.タイルカーペット:施工性や吸音性に優れるが「汚れの蓄積」と「剥がれ」に課題

安価で施工しやすく、容易に剥がすこともでき、歩行音をも吸収するため、執務エリアに適した床材です。ただ、一方で繊維に汚れやニオイが蓄積しやすく、衛生面の維持については課題があります。また、経年劣化や椅子の移動で角の「剥がれ」や「めくれ」が生じやすいため、定期的に傷んだ部分を貼り替えるなどのメンテナンスが欠かせません。

3-2.塩ビタイル:低コスト・高耐久だが「意匠性の限界」と「冷え」

土足での歩行に強く、メンテナンスも容易です。ただ、硬く冷たい素材を仕様しているため、足裏の冷えや足腰への負担を感じるかもしれません。また、プリントで再現できる意匠には限界があり、本物志向の上質な空間を望む場合は、質感の面で物足りなさを感じる可能性もあります。

3-3.木質フローリング:高い意匠性と快適性

本物の木が持つ質感は空間のグレードや温かみを感じさせる大きな力を持っています。オフィス環境に適した高機能な木質フローリング製品を採用すれば、意匠性と実務的な機能を両立させることも可能です。初期費用は高額になりやすいものの、耐久性が高い上に美しさを長く維持しやすいため、長期的なLCCの観点ではカーペット等より有利かもしれません。

4.働きやすさを支える「朝日ウッドテック」のオフィス向け床材

メッセージオフィス 突き板|オフィスの床事例
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朝日ウッドテックの「メッセージオフィス」は、オフィス特有の厳しい環境を想定して開発された、リノベーションに最適な木質床材です。天然木ならではの豊かな意匠性に加え、現場の切実な悩みを解決する様々な機能を備えています。

 

4-1.OAフロアの上に直貼り可能。リノベーションでの原状回復も容易

OAフロア下地に専用接着剤でしっかり接着
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OAフロア用に開発された専用接着剤で下地への直接施工が可能です。この強固な接着が天然木特有の「浮き」や「反り」を抑えて安定した歩行感を実現します。退去時には接着剤を簡単に剥がせるため、賃貸物件でもスムーズな原状回復が可能です。

 

4-2.6.3mmの薄型設計。タイルカーペットと同等の厚みを実現

タイルカーペットと同等の厚みを実現
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本製品が持つ最大の特長は、一般的なタイルカーペットとほぼ同じ6.3mmという薄型設計です。これにより、カーペットと貼り分ける時も、下地の調整や特殊な見切り材を必要とせず、フラットに仕上げることが可能です。負担の軽減と工期の短縮にもつながり、つまずきのない安全な動線が容易に構築できます。

 

4-3.施工品質を高めるOAフロア専用の寸法設計

OAフロア下地に最適な寸法設計
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500mm角のOAフロアパネルに、最適化した幅寸法(142.8mm)を採用しています。貼りはじめの位置をずらして施工することにより、OAフロア下地の目地と床材のジョイントが重ならずに段差や浮き、隙間の発生を抑えることができます。施工品質の安定と美しくフラットな仕上がりが両立できる合理的な設計です。

 

4-4.土足・キャスター対応。天然木でありながら高い耐久性

フローリングの摩耗・浸せき剥離試験結果画像
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表面硬化技術・基材構成によって、天然木の風合いを損なうことなく、キャスターによる凹みや歩行による摩耗を強力に抑制。デスク周りなどの大きな負荷がかかるエリアでも、導入時の美しさを長期間維持して資産価値を守ります。

4-5.抗ウイルス・抗菌性能で「安全・安心」をサポート

不特定多数が集まる空間に安心をもたらす抗ウイルス・抗菌性能を標準装備。床に付着するウイルスや菌を減らし、衛生的な環境を維持します。アレルゲンを溜め込みやすいカーペットと比べて清掃しやすく清潔を保ちやすい点もメリットです。

4-6.本物の木質によりバイオフィリックデザインに貢献

挽き板(ひきいた)ならではの豊かな木目と温かみは、無機質なオフィスに「自然のゆらぎ」をもたらします。視覚的な心地良さはワーカーのストレスを和らげ、心地よい執務環境づくりにつながります。「綺麗」なだけでなく、快適に働けるオフィスを実現します。

5.まとめ:リノベーションの質は「床材」の選定で決まる

現代のオフィスにおける床材は単なる仕上げ材ではなく、ワーカーの心身を支える重要な「経営資源」です。コストや効率性のみを追求する時代は終わりを告げ、現在は「ウェルビーイング」や「交流の創出」などの付加価値が選定基準となっています。足元から変わる新しいオフィスのあり方は、次世代のワークスタイルを支える確かな土台となるはずです。

▶︎ オフィス向けフローリング製品・施工事例はこちら
https://www.woodtec.co.jp/products/lineup/flooring/public/message-office/

記事監修:辻 久(つじ ひさし)

記事監修:辻 久(つじ ひさし)

一級建築士。INA新建築研究所を経て独立し、建築設計due代表を務める。現在まで20年以上、一級建築士事務所を運営し、住宅、店舗、集合住宅、医療福祉施設など多数の設計監理実績がある。

https://due2002.com/

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オフィスのリノベーションにおける床材選定の重要ポイントを解説。OAフロア対応やキャスター耐久性といった機能面から、従業員のエンゲージメントを高めるデザイン性、バイオフィリックデザインの導入メリットまで網羅。タイルカーペット、塩ビタイル、木質フローリングの比較を通して、失敗しないオフィス改修のヒントを提示します。