多くの人たちは部屋の窓から見える外の緑に安らぎを感じ、休日には自然豊かな場所でリフレッシュしたくなるものです。このような人が持つ自然を求める本能的な性質を設計に活かし、働く場所を健やかな空間に再生させる手法が「バイオフィリックデザイン」です。
効率性ばかりが優先された時代は終わりました。近年では「行きたくなるオフィス」への投資が企業の成長を左右するとさえ言われています。本記事では「行きたくなる・集まりたくなるオフィス」作りに有効とされるバイオフィリックデザインのメリットと五感に影響を与える「床材」の重要性を建築士の視点で解説します。
オフィスの床材選びに関する記事もございます。ぜひそちらもあわせてご参照ください。
1.バイオフィリックデザインとは?オフィスで注目される背景

バイオフィリックデザイン(Biophilic Design)は、人間に先天的・本能的に備わっている「自然とつながりたい」という欲求(バイオフィリア)を、建築や空間設計に活用する手法です。近年、この手法は単に見た目を整えるだけでなく、心地よく働ける環境づくりを支える考え方として注目されています。
1-1.「自然とのつながり」が従業員の幸福度(ウェルビーイング)を左右する
無機質なコンクリートやプラスチックに囲まれた空間では、気づかないうちに心理的な負荷が蓄積されていることがあります。これに対して緑や木材、自然光を感じる環境では、心に余裕が感じられ、心理的なリラックス感につながるとされています。居心地の良さを重視したオフィス作りは「この会社でもっと働きたい」という組織へのエンゲージメントを高めるための有効な手立てになることが期待できます。
1-2.2026年のトレンド:ハイブリッドワーク時代の「集まりたくなるオフィス」
リモートワークが定着した今の時代、オフィスには単なる作業スペースを超えた「対面ならではの価値」が問われています。チームの帰属意識を育むとともに、オンラインでは生まれにくい偶発的なイノベーションを誘発するには、五感を心地良く刺激する環境が必要となります。バイオフィリックデザインは、オフィスを「管理される場所」から「自発的に集いたくなる場所」に進化させ、組織の共創力を高める重要なカギとなります。
1-3.科学的エビデンス:ストレス数値の低下と集中力の向上効果
自然を取り入れたオフィス環境が、ストレスの軽減に役立ち、幸福度や創造性を高め、生産性の向上を後押しすることは、各国の調査で確認されています。これらは心拍数や脳波の計測といった科学的なアプローチによっても裏付けられています。日本の林野庁も木を使った内装がモチベーションや作業性を高めるという調査結果を明らかにしました。
参考:「Human Spaces: 世界中の職場における、バイオフィリックデザインが与える影響」
バイオフィリックデザインによる空間への配慮は、人材の獲得やその定着面でもプラスに働くとされており、健康経営における「前向きな投資」として注目されています。
2.オフィスにバイオフィリックデザインを導入する「3つの柱」

バイオフィリックデザインをオフィスに取り入れる場合、観葉植物を幾つか並べるなどの方法では十分な効果が得られません。空間全体で「自然とのつながり」を構築することが重要であり、そのためには多角的なアプローチが必要となります。ここでは、その骨子となる3つの柱を解説します。
2-1.直接的な自然:観葉植物(グリーン)、自然光、水の流れ
五感に最もダイレクトな変化をもたらすのは、本物の自然物を配置するという手法です。例えば、壁面緑化などで「緑視率」を高めることは、リラックス効果だけでなく植物の蒸散作用による調湿や、空気清浄といった室内環境の改善にも寄与します。
水盤やアクアリウムを設置して「水のゆらぎや音」を演出すれば、空間に潤いと安らぎを与えることができますし、窓からの「自然光」を空間の奥まで届ける設計は、ワーカーの生体リズムを整えて健康的な活動を支えます。
2-2.間接的な自然:天然木の質感、自然界のパターン(ゆらぎ)、色彩
本物の自然物を配置しにくい場所でも、間接的に自然を取り入れることは可能です。例えば、「天然木」の内装や家具は視覚的な温かみに加え、触れた際に感じる木の質感、さらには調湿作用や香りなど、多角的に五感を刺激してくれます。
また、自然界に見られる規則的でありながら不規則なパターン(1/fゆらぎ)が反映されたデザインを取り入れることで心地良い落ち着きを創出することができます。
2-3.空間の質:開放感、隠れ家のような安心感(プロスペクト・アンド・リフュージ)
人が本能的に好む「見通しの良い開放感(プロスペクト)」と、「包み込まれる安心感(リフュージ)」を両立させる視点も重要です。
例えば、「床材の色や質感」を切り替えるゾーニングを用いれば、視線の抜けを維持したまま壁を立てずに心理的な境界が創り出せます。開放的な交流エリアと守られた集中エリアを、床材の変化で緩やかに分ける手法は、ワーカーに心理的な安全性と機能性を提供します。
3.「床」から始めるバイオフィリックデザイン|なぜ木質床材が有効か?

バイオフィリックデザインを実装する際、特に効果的な要素が「床」の選択です。床は視界に入る面積が大きく、常に足が触れている場所です。その床を「木質化」したらオフィスの印象と居心地はどのように変化するのでしょうか。
3-1.視覚的効果:目に優しい木目の「1/fゆらぎ」が脳をリラックスさせる
木目の複雑な模様には規則性と不規則性が調和した「1/fゆらぎ」のリズムが存在します。これは、ろうそくの炎や小川のせせらぎのように、視覚を通じて脳波を安定させ、疲労を和らげる効果があります。仕事中、ふと、足元に視線を落とした時、天然の木目が広がっているという環境は、ワーカーに無意識の休息をもたらします。
3-2.触覚的効果:足元から伝わる温もりと適度な弾力が疲労を軽減
天然木は細胞内に空気を蓄えているため、優れた断熱性と弾力性を備えています。これにより、冬場の底冷えが和らぐとともに、歩行時の衝撃も適度に吸収され、足腰の疲労が軽減されます。木材特有の柔らかな触感は、心理的な安心感だけでなく、身体的な快適感ももたらします。
3-3.環境的効果:深呼吸したくなる「クリーンな空気」と、高度な衛生性能の両立
オフィス環境の質は空気によっても左右されます。カーペットの場合はどうしても繊維にダストが溜まりがちですが、木質床材なら普段の清掃でアレルゲンが排出されるので、清潔な室内環境を維持しやすくなるでしょう。木質床材によってもたらされる「空気の質」の向上は、クリーンな空間を支えるための揺るぎない土台となります。
4.朝日ウッドテックの床材で実現する「五感に響くオフィス」

バイオフィリックデザインにおける「木質床材の優位性」を、オフィスという過酷な条件下でも形にできるのが、朝日ウッドテックの「メッセージオフィス」シリーズです。
4-1.「本物感」が感性に響く。天然木の豊かな表情を引き出す独自の突き板技術
「メッセージオフィス」の核となっているのは、厳選された天然木による「突き板」仕上げです。自然の環境下で育った樹木が持つ個性豊かな表情(キャラクター)を大切にしており、その独特な趣は空間に深い奥行きを与えてくれます。
木材本来の組織を損なわない独自の切削技術によって引き出された天然木特有の「ゆらぎ」がワーカーの感性を心地良く刺激します。
4-2.「安心感」を標準に。抗ウイルス・抗菌性能とクリーンな空気環境の提供
自然の温もりを享受する空間には、その心地良さを裏付ける確かな安全性が求められます。「メッセージオフィス」はSIAA基準の「抗ウイルス・抗菌性能」に加え、不快なニオイを低減する消臭性能を標準装備しています。そして、さらには空気質を汚染しない「4VOC基準」にも適合。思わず深呼吸したくなるような、心地良いオフィス環境を構築します。
4-3.優れた耐久性と清掃性。フリーワックスでメンテナンスコストを軽減
バイオフィリックデザインの定着には「持続可能性」が欠かせません。「メッセージオフィス」は高度な表面硬化技術・基材構成によってキャスターの荷重や土足歩行による摩耗・汚れを軽減します。
加えて定期的なワックス掛けが不要な「フリーワックス」仕様で維持管理コストや什器移動の手間を大幅に削減。このような優れた耐久性が天然木の美しさを長く保ち、洗練された空間価値を長期にわたって守り抜きます。
4-4.オフィス特有の制約をクリア。OAフロアへの適応性と原状回復の容易さ
木質化を進める上で障壁となりがちな、オフィス環境特有の技術的制約もクリアしています。既存の建具や什器との干渉、他エリアとの床段差を防ぐ薄型設計を採用。さらに、下地パネルのサイズに最適化された独自の製品幅により、隙間や浮きを抑えてOAフロアへの直貼りを可能にしました。退去時には下地を傷めず接着剤を容易に取り除ける優れた原状回復性も備えており、導入から撤去に至るまでのハードルを解消しています。
5.まとめ:バイオフィリックデザインは「経営戦略」としての投資
バイオフィリックデザインの導入は、単に美観を向上させる方法ではなく、働きやすい環境づくりを支える、企業価値を高めるための「戦略的投資」です。とりわけオフィスの中で最も身体に近く、視界の多くを占める「床」を木質化することは、このデザイン手法を効率的に実装する方法のひとつです。
朝日ウッドテックの床材はワーカーが「ここで働きたい」と思えるワークプレイス構築の強力なパートナーとなるでしょう。足元から始まる「自然との共生」が貴社における次世代の成長を支える土台となるはずです。
▶︎ オフィス向けフローリング製品・施工事例はこちら
https://www.woodtec.co.jp/products/lineup/flooring/public/message-office/
記事監修:辻 久(つじ ひさし)

一級建築士。INA新建築研究所を経て独立し、建築設計due代表を務める。現在まで20年以上、一級建築士事務所を運営し、住宅、店舗、集合住宅、医療福祉施設など多数の設計監理実績がある。



