植木莞爾ー床は大事「住宅を床から発想するのは日本だけ」 | フローリング総合研究所
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2019.09.24

住宅を床から発想するのは日本だけ

インテリアデザイナー
植木莞爾

1968年、慶応義塾大学卒業後渡伊。リナシェンテデパートミラノ本店デザイン堂、アルドヤコベル建築設計事務所勤務。1975年帰国後、カザッポアンドアソシエイツ設立。
〈おもな受賞歴〉1999年・JCD デザイン優秀賞(Obrero)、2003年・Industrial Design Excellence Awards, Gold Medal(Apple Store)、2004年・Shop System Study Society, Best Store of The Year 2004(TOUCH)、2006年・金沢都市美文化賞(Sake Shop 福光屋)

http://www.casappo.com

日本はやっぱり木の床が自然。
日本人の感性にあってるんだろうね。

僕はイタリアに8年間いたんだけどイタリアの家っていうのは、だいたい大理石ですからね。木を使うっていうのは多くない。一般の人の家の床も人造石かテラゾーか大理石、だって石のほうが安いですから。それが普通なんです。だから僕が住んでいた安アパートも床は石でした。だから、木の床っていうのは一軒家でどちらかというとお金持ちの家でしょうね。まあ、北の方にいくと木の床が増えていくんでしょうけど。南のほうでも最近は木が使われるようになったけど、古い家は建てられてからだいたい200年300年くらい経ってて最初から床に石貼ってあるんですよね。だから木の床っていうのはどちらかというと馴染みがない。日本の場合はやっぱり木の床が自然ですよね。変になんか石なんか貼ると不自然なんですよね、無理してる感じがする。ヨーロッパみたいに石の建築と違いますからね。やっぱり木の床が日本人の感性に合ってるんだろうね。

2001年 Apple Store (U.S.)
全米に展開された、Apple Storeのプロトタイプデザインを手掛けられました。

日本では、まず床材を何にしようか考えるのは当然と思う。

インテリアを考えるとき、イタリアでは天井から下に降りてくるんですよ。発想が。ですからヨーロッパのインテリアの発想は下からじゃないです。日本は床からだけど。ヨーロッパは古い建物で長年石が貼ってあるのを前提にしてるから頭のなかで床をどうしようって考えてない。ほとんどの場合が床はいじらないってことですね。だから、考え方としては天井にどういう照明をつけて、壁をどうしようとか、そこから最後に床に降りてくる。床は石のままか、やるとしたらカーペット。石の上に貼るのにカーペットが一番楽ですから。だからヨーロッパは意外とカーペットは結構使いますね。
日本の場合は、まず床を考える。木を貼ろっかなあ、タイルにしようかな、どうしよっかな。それはやっぱり、住宅の建て方が違うから。例えばお店をデザインする時でもね、デザインの工事の発想の仕方っていうのは、ヨーロッパの場合は天井から作っていくんですよね。日本は逆に床の工事やってから上に行くんですよ。そういう工程の組み方が逆なんだよ。日本はやっぱり大工さんの世界から入ってきてるからね。だから、日本の場合はまず床材を何にしようかなって考えるのは当然だと思う。
床を木にする、石にする、全然違いますよ。日本ならやっぱり木じゃないですか。僕も住宅のインテリアをやるときの床はほとんど木です。どういう色目とかデザインのを使うかはクライアントによってケースバイケースだけど、素材にはこだわりますね。素材の質によって空間の雰囲気がすごく変わってきますから。
それに、大事に永く使いたいところなので床はやっぱりいいものを選びたいよね。

植木莞爾さんの“床の記憶”

小さい時って例えばお寺とか神社とかでよく遊んでるじゃないですか。そのときに縁側とかに腰掛けて日向ぼっこして。そういう時の記憶は残っていますね。ちょっと遊び疲れて神社の縁側みたいなところに腰掛けて触った時の感触をいまだによく覚えています。お寺とか神社とかああいう古いものの床って、なんかごつごつしてるじゃないですか。そういう足の感覚がすごく残ってますね。

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