床にはその家に住む家族の個性が表れる | フローリング総合研究所
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2020.07.27

床にはその家に住む家族の個性が表れる

一級建築士・インテリアアーキテクト
町田瑞穂ドロテア

スイス生まれ。東京都市大学(旧:武蔵工業大学)工学部建築学科卒業、日本の住宅メーカーをはじめ米国の設計事務所に勤務。2000年帰国後より「町田ひろ子アカデミー」にて教育・商品企画・インテリアデザインなどに関わる。2014年インテリアデザインサービス・ブランド「AOYAMA Style」を立ち上げ、個人のお客様やホテル、結婚式場などのプロジェクトを推進する。2004年英国ロンドンにあるインテリアとガーデンデザインの名門校KLC School of Designと提携。隔年、英国のインテリアイベントの時期に合わせ、英国インテリアデザイン研修を実施。その他、TV東京「ドリームハウス」「インテリア日和」出演、雑誌・書籍の執筆等行っている。所属団体 社団法人 東京建築士会。

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床材は暮らしと住まい全体のベーシックウェア。

インテリアコーディネートをする上で、大切なのはお客様の暮らしに寄り添うこと。それぞれの家族をきちんと見つめ、暮らしぶりを把握することは、将来という時間軸を考慮する上で重要な要素になります。お客様の目線を共有し、より良い生活や上質で飽きのこない空間を実現するためには、どうすればいいか、また家族の個性をどのように表現するかなどを心掛けています。
空間の中で床材の比重は思いのほか大きいものです。面積が大きいこともあり、空間の印象に大きな影響を与えます。素材選定の場面では、空間プランに合わせ始めに床材を決め、全体イメージの基調を固めます。それに合わせる壁や建具の素材そしてカラーを決めていく、という流れが大半です。
ご相談の中には、「これまで住んでた家の床がミディアムオークだったのでまったく違うテイストにして気分を変えたい」という時があります。その場合、思い切ってダーク系のウォルナットにするか、逆に明るく軽快なメイプルにすると気分がおおきく変わります。または、同じ中間色でも木の種類を変えることで、例えば多彩な色や柄を持つカリンは、光のあたり方や見方により表情が変わって見え、また経年変化により色の変化を楽しむことが出来ます。
このように、床の色や意匠は、家族の過ごし方の個性をデザインすることが出来、住む人の気分や暮らしやすさに作用します。それだけに床材は、インテリアのベーシックウェアとしての力を持っていると思います。

「一會」会津地鶏の料理店。福島奥会津出身の店主は古い骨董ににじむ風合いに温かみを感じるという。古い蔵戸に合わせ、奥会津三島町の協力で樹齢177年の栃の木をテーブルに採用。絹のような杢目が美しい。

家の中でもっと床が大事になっていく。床にはまだまだ可能性を感じます。

住まい空間をコーディネートする際のキーワードとして、オンリーワン、コンフォタブル、タイムレスの3つがあると考えています。「コンフォタブル」は、居心地の良さ、快適さ。「タイムレス」は時間を越えて普遍性を持つという価値。そして最終的にひとつの家族のための空間としてまとめていく「オンリーワン」。
床を選ぶ時もこれらのキーワードを意識していますが、とくに裸足で得られる「快適性」には、「木」の床にまだまだ可能性があるように思っています。環境問題とともに省エネルギーに配慮した住まいを考えた場合、パッシブの発想で太陽熱や地中熱などの自然エネルギーを利用した保温・蓄熱機能を持った床など。石やタイルでは、既に利用されています。木の床でそういうのが出てくればすごいですよね。直接触れる部分なので付与された機能がダイレクトに快適さにつながり、省エネルギーにもつながる。そうなると、今まで以上に家の中における床の重要性や価値が増してくるのではないでしょうか。近い将来そんな時代が来ると思って期待しています。

町田瑞穂ドロテアさんの“床の記憶”

裸足で外を走り廻っていたので、家の床の感触だけでなく、土が足の指の間からにゅって出てくる感触とか、芝生の上で草のツンツンした感じとかも裸足の記憶として残っています。スイスでは、生まれた赤ちゃんに初めて手にするものとしてコットンで出来た手作りの人形を持たせる習慣があります。天然素材で人の形をしたもの、本当の心地よさや優しさを教える意味があるのですが、小さい頃って手で触れるものも足で触れるものも同じ感覚なので床も心地よさを感じるものがいいですよね。

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