2025 ミラノサローネレポート | フローリング総合研究所
2025.11.20

2025 ミラノサローネレポート

ミラノデザインウィーク2025 レポート

世界最大のデザインの祭典「ミラノデザインウィーク」は、郊外の「ミラノサローネ」と市内の「フォーリサローネ」から成る一大イベントです。
近年はサステナビリティの観点から、街中で開催されるフォーリが主流となり、今年は人気会場に長蛇の列ができるなど、休む間もないハードな視察となりました。
今回は約80社を訪問し、空間構成における木材の役割に注目しながら、最新のインテリアトレンドを調査。木質建材メーカーの視点でその傾向をご紹介します。

フィエラに出展していたmoooi。干し草の俵をモチーフにした新作チェア。 ノスタルジーと現代を融合させたデザイン。配色や魅せ方も含め今年を象徴するスタイリング。

コーディネイト

有機的素材×低彩度、黒を効かせた強コントラスト
二極化する空間配色トレンド

全体として、空間デザインは大きく二極化している印象を受けました。
ひとつは、明度がやや高く、彩度を抑えた柔らかな空間。薄いグレーやホワイトを基調に、控えめなアクセントカラーを加えた優しい配色や、ホワイトからブラウンへのグラデーションが特徴です。自然素材やマットな質感が多く使われ、チョコレートやコーヒーを思わせるブラウン系の色合いがトレンドに。無塗装のような仕上げのウォルナット材との相性も良好です。
もう一方は、黒を効かせた強いコントラストが印象的なラグジュアリー空間。ブラックに着色されたオーク、アッシュ、エルム材の使用が目立ちました。
彩度を抑えた穏やかな空間と、黒を基調とした力強い空間。どちらも木材との関係性が重要な要素となっています。

FLEXFORM 2024年と2025年の比較
今年の新作は、屋内外の境界線を曖昧にし、自然と溶け込むような家具の配色や素材が採用されています。

|有機的な素材を生かした低彩度配色

FLEXFORM

porada

MOROSO

|黒が効いた強コントラスト配色

Poliform

B&B Italia

karimoku

ウッディトレンド

ウォルナットとオークのインビジブル仕上げが主流に。
ブラック着色も引き続きトレンド。

樹種はウォルナットとオークが大半を占め、いずれも突き板仕上げが主流でした。表情は節やキャラクターの少ない、整った美しさが際立っています。
仕上げは昨年に続き、「無塗装風(インビジブル仕上げ)」が多く見られ、ウォルナット・オーク・アッシュ材を中心に、低彩度の空間に自然に溶け込んでいました。
一方で、オーク・アッシュ・エルム材に「ブラック着色」を施した家具やフローリング、壁材も多く、強いコントラストを生むアクセントとして機能しています。
また、木材に限らず、多様な素材を組み合わせてそれぞれの質感や風合いを引き出すスタイルが定着しており、素材そのものの魅力を活かす表現が印象的なミラノデザインウィークでした。

|有機的な素材を生かした低彩度配色
低彩度な空間にはインビジブルな仕上げの他、マットな仕上げやホワイトを微着色して白木のような仕上げで表現された木材が採用される傾向。

|黒が効いた強コントラスト配色
熱処理して深みのある褐色の色合いを表現したものから墨色、ブラック100%なものまで。木目も生かしたブラック着色が採用されています。

ハイライト

話題性のあったブランドやメーカーをピックアップ。

|エルメス
エルメスは日本の伝統的な木工技術である「曲木」を利用した杉材の
ラウンドテーブルを発表。 軸をずらし、動きのあるアイテムとなっています。

|ルイ・ヴィトン
ルイ・ヴィトンが2012年から展開している家具・インテリアコレクション、
「Objets Nomades」。今年はブランド初のホームコレクションを発表。

|cassina
cassinaはミッドセンチュリーの巨匠、コルビジェ・シャルロットペリアンらの
名作コレクション60周年を記念したイベント「staging modernity」を開催。

|moooi
市内に初のフラッグシップストアをオープンしたmoooi。らしさを感じさせる
インパクトの強いスタイリング。ブラック着色フローリングが採用されています。

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