2020.09.04

ちきりんさんと考えるフローリングの選び方[後編]

※このコラムは「ちきりんさんと考えるフローリングの選び方 [前編]」の続き[後編]の内容となっております。

無垢が最上級の品質!?これも間違い

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Aさん

無垢フローリング挽き板フローリング突き板フローリングも、直に触れる表面は天然木だというのは理解しました。でも、やっぱり品質は無垢が最高峰なんですよね?

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ちきりん

そこなんです!わたしも誤解していたのは、品質は無垢フローリング、挽き板や突き板といった天然木化粧フローリング、シートフローリングという順番だと思っていました。じつは無垢フローリングというのはピンキリなんです。極端にいえば古民家を買ってリノベするときに裏山から木を切って床として貼ったらそれも無垢フローリングですが、そんなことしたら1年も経たないうちに反ったり割れたりして住めなくなります。

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Aさん

つまり、挽き板フローリングなどの床材は無垢フローリングより品質が安定しているってことですか。

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ちきりん

そう。それが研究開発の成果です。だから、「予算はできるだけおさえたいです。でも床は無垢にしたいです」これは絶対やっちゃだめです。

無垢を使うならお金をかけないとだめです。 高品質な無垢フローリングは長い年月をかけてしっかり乾燥させることで施工後の伸縮による狂いを極力抑え、また見た目も美しい木目を揃えています。しかし、それでも同じ条件で無垢フローリングと挽き板フローリングを比較すると、伸縮のしやすさは10倍くらいの差が出たりします。

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ちきりん

無農薬野菜にたとえるとイメージしやすくなりますよ。

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Aさん

無農薬、自然のものというと質も良く、体に優しい感じがしますね。

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ちきりん

でも、野生に近い自然のままに育った野菜はかたちも味も栄養もばらつきます。もちろん虫もつきますし、農薬を使わないとものすごく手間のかかった高価な野菜になります。一方で近頃は工場で作るプラント野菜もでてきています。品種改良され室内で温度も水も管理されているので虫もつかず品質は安定しています。私はこの中間にこそ最も望ましい姿があると思うんですね。必要最低限の農薬や、許容内での品種改良しかしていないので安定して供給できるものです。野菜を買う側も安心があります。

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Aさん

それは床も同じだと。

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ちきりん

品質が安定した状態で、床暖房が使えるとか、経年劣化、機能性、汚れの強さ、施工の難しさ、メンテナンスの大変さ。こういったことを考慮にいれて改善し、自然の木に近いかたちで開発されているのが挽き板や突き板の天然木フローリングです。

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Aさん

はい。いろいろ誤解が解けたところでますます知りたくなりました!

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ちきりん

わたしがリノベするときに無垢にこだわらなかったのは正しい判断だったと思います。

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所長

正解!その通りですね!めんどくさがり屋さんなら大正解です。

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ちきりん

またまた、フローリング総研の所長さん!!

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所長

もう少し詳しく説明しておきますね。無垢フローリングを採用するにはいろいろな条件が必要なんです。また無垢の不具合でよくあるのが割れです。あとはスキ、反りですね。特に床暖にしたときに含水率の変化で発生しやすいです。メンテナンスをさぼっていると赤ワインなどをこぼしたときのシミなんかも出来やすいです。

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Aさん

無垢の床というのは半年に1回オイルを塗る作業が必要なんですよね?

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所長

その通り。ウレタン塗装仕上げの無垢フローリングもありますが、一般的に無垢フローリングに多いオイル塗装仕上げはメンテナンスも大変です。それに、これは好みですけど、意匠もピンキリ。よく言うのはいろんな条件が揃わないと納得のいく仕上がりにならないということです。

施工はマニュアルを遵守できて技術があり、意匠のセンスも良い、3つそろわないとできないです。売る側にも知識とそれを正しく伝える能力が要ります。

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ちきりん

すごく大事なことですよね。住まう側も植物やペットの世話が出来ないひとが無垢を選ぶのはもったいないですよね。きちんとコストもかけて自然にリスペクトをもってやるべき。

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所長

貼る工賃もかなり違いますよね。無垢フローリングは1枚1枚並べます。挽き板フローリング、突き板フローリングは規格がそろっているので施工効率がよい。比較すると3倍。3倍の値段と高い技術の職人さんを雇うことになるんです。

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ちきりん

ところでね。私疑問だったのです。高級マンションの新築でなぜシートフローリングなんですか?

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所長

今のシートフローリングは、印刷技術が向上しているので、ぱっと見、天然木かと思える仕上がりになっています。また、インテリアデザイナーの要望に応じて天然木では難しい貴重な木目などもつくれます。何百戸というマンションに天然木フローリングを入れたときには、予想しないばらつきがあるので、この木目が人の顔にみえるとか、好みで気に入らないというのがでて、それを言われてしまうとデベロッパーは対処に困っていしまうので、ばらつきのないシートフローリングにしてきた経緯があります。

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Aさん

そうだったんですね。

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ちきりん

もうひとついいですか?日本では挽き板フローリングが少ないのはどうしてなんですか?

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所長

日本は靴脱ぎの文化で、表面材の厚みが薄くても問題がなかったので突き板フローリングがスタンダードになりました。海外は土足の文化ですから、表面材の厚みが薄いと摩擦で穴が開いてしまいますし、DIYの文化も根付いていて劣化してくると床を自分で削る方も多いですね。だから厚みが必要であるということです。

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ちきりん

なるほどー!

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所長

いえいえ、ちきりんさんが野菜のたとえで上手く説明してくださったように、完全に自然なものと完全に人工なものの間で、可能な限り自然に近い状態で様々な条件に対応できるのが挽き板フローリングです!ぜひ、一度、実際に触れてみてください。

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Aさん

ぜひ!

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