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てんどうの実家の話。
何分、山形の冬は長く、野球小僧のボクは「仏の間」が「素振りの間」だった。
そこで何百回と納得するまで素振りを続ける。、、、始めて3ヶ月もすると畳が綻んできた。
ばあちゃんは、人が来るとその部分を座布団でそっと隠してくれた。
高校に上がった頃、その畳はボロボロになった。
オフクロが「新しいものにかえたい」と進言しても、ばあちゃんは首を縦に振らなかった。
上京する時、ばあちゃんは餞別の10万円に手紙をつけてくれた。その中に1枚の写真。
ボロボロになった畳の写真だ。
その裏にひとこと「努力することの大切さ」。
今はばあちゃんは亡くなって、自宅も改装してその畳は無い。
でも努力したからこそ、甲子園の舞台にも立てた。今がある。
それを忘れさせないばあちゃんの気遣いも忘れない。