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おばあちゃんの家の無垢広縁にある10円玉2個分の大きな穴、これは幼い頃、私の手により節穴をこじ開けたものだ。
そこから見る景色と匂いが大好きだった。
杉板の香りと床下の香りが床下の冷たい風に乗っかり心地よい。
今でも何かの拍子で匂いとともに記憶がよみがえってくる。
その床下を根城とする紀州犬の「コーキ」。私の一番の遊び相手だ。
大きな床の穴から突然にょきっと舌が出てくる。
...なぜかと言うと寝っ転がり、音で興味をひき、餌をあげていたからだ。
でも実は私が遊ばれていたと気づくのにはあまり時間はかからなかった。
フルベッキ復之