COLUMN #39
動物医療技術師 石川 美代子

「フローリングは犬に良くない」という話を聞いたことはありませんか。見た目の良さや扱いやすさからさまざまな住宅に採用されているフローリングですが、ペットのいる家庭で床材として使う時は安全性に注意が必要です。もともと犬の祖先は土や草の上を走る動物でした。そのため現代の住環境における「硬く滑りやすい床」は、彼らの身体構造にとって想定外の負荷を与え続けているのです。
この記事では木の床材がペットにNGといわれる理由、注意したい床材とともに、ペットにおすすめの床材とその種類を解説。自然派の愛犬家におすすめできる木のフローリングをご紹介します。ペットの健康が気になる方や、おしゃれな床材の使用を諦めたくない方はぜひチェックしてください。

多くの住宅で採用されている一般的なフローリングは、印刷シート仕上げやウレタン樹脂塗装仕上げです。こうした加工が施された床材には、ペットが歩く際に滑りやすいという難点があります。さらに、床で「滑る」ことは一過性のハプニングにとどまらず、犬の一生を左右するリスクになることさえあります。なぜでしょうか。
まず、犬が滑りやすい床で生活していると、常にふんばった姿勢で歩くことになり、足腰に余分な負担がかかります。これが日常化すると、椎間板ヘルニアや膝蓋骨脱臼(パテラ)といった関節疾患の発症リスクが高まります。パテラとは、膝の皿が本来の溝から外れてしまう疾患で、一度発症すると慢性化しやすく、悪化すれば外科手術が必要になるケースもあります。
■パテラについてはこちらをご覧ください。
・パテラ(膝蓋骨脱臼)とは?小型犬が滑りやすいフローリングで悪化する理由と予防策を解説
特に骨格が華奢で関節が弱い小型犬にとっては、急な方向転換やジャンプの着地時に滑り、足が外側へ流れてしまうことはパテラ発症のリスクを高めることにつながります。怪我を防ぎ、愛犬が快適に長く暮らすためには、まずこの物理的なリスクを取り除き、安全性を確保することが必要です。
犬も高齢になると筋力が衰え、一歩踏み出す力やバランス能力が低下します。フローリングの床も若い頃なら何とか踏ん張れていたかもしれませんが、シニア犬にとっては「常に氷の上を歩いている」ような恐怖の対象となります。
一度滑って怖い思いをした犬は、歩くこと自体を嫌がるようになり、それが筋力のさらなる低下や認知症の進行を早めるという悪循環を招きかねません。立ち上がる際の後ろ足の踏ん張りは、シニア犬のQOL(生活の質)を維持する鍵なのです。
長毛の犬は、足裏の毛が肉球にかかることで足元が滑ることもあります。 多くの飼い主様はこまめなカットや肉球のお手入れで、フローリングの滑りをやわらげようとされます。しかしこれらはあくまで「補助」に過ぎません。
犬の歩行は、本来、爪を地面に食い込ませてグリップを得る仕組みですが、硬いフローリングではしっかり爪が立ちません。肉球のコンディションを整える努力をしていても、床材自体がつるつるしていれば、事故が起こる確率は高くなります。

ペットの足腰にかかる負担を考えた場合、どのような基準で床材を選ぶべきでしょうか。後悔しないための4つの重要指標を整理しました。
特に小型犬と暮らしている場合、床材選びで何よりも優先すべきは、「適度なグリップ力」です。グリップが強すぎても、今度は歩行時の踏み出しに不自然な抵抗がかかり、別の関節トラブルを招く恐れがあるのです。
単に滑らなければ良いというわけではなく、犬の肉球の特性に合わせた「理想の滑り抵抗値」を実現した素材選びが不可欠です。
ペットと暮らしていると、食べこぼしや粗相などで床は汚れやすく、掃除の頻度は高くなります。抜け毛が多い犬種を飼っている場合も、毎日の床掃除は大変です。
そこでお手入れしやすい床材なら、常に清潔な状態を保ちやすくなるでしょう。フローリングなら最低限の手間で清潔感を維持できるのが大きなメリットです。汚れがサッと拭き取れる床材は、飼い主様の精神的な余裕にも繋がります。
ペットを飼うなら衛生面にも配慮したいところです。床材についた特定のウイルスや細菌の数を減少させる「抗ウイルス性能」「抗菌性能」や、次亜塩素酸ナトリウムやアルコールでの消毒が可能な「耐薬品性能」を備えたフローリングを選ぶと安心できます。
床材の機能性は重要ですが、それだけを追求してプラスチックのような床になってしまうと、住まいとしての魅力が損なわれるかもしれません。歩行感とともに、質感も重視したいものです。
その点、シンプルで木の温かみも感じられるフローリングは、居心地の良い空間作りにぴったりです。犬にとっても、冬は冷たすぎず、夏はベタつかない天然木の質感は、直接床に寝転がる彼らにとって究極のリラックス要素となります。
ペット、特に小型犬と暮らしている場合に推奨されている床材にはいくつかの選択肢があります。それぞれ一長一短があるので、メリット・デメリットを理解したうえで最適なものを選びましょう。
・クッションフロア・コルク材:
ペットが歩く際にも滑りにくく、多少、足裏の毛が伸びていても安心です。ただ意匠性や耐久性という点では、ある程度の妥協が必要かもしれません。また、犬が噛みちぎって誤飲してしまうリスクや、家具の重みで跡がつきやすい点にも注意が必要です。
・マット:
手軽に滑り止めの効果を得ることができ、床が傷つくことをある程度防ぐこともできます。しかし汚れが取りにくく、掃除の手間がかかったり、デザインによっては部屋の雰囲気に合わない場合もあります。
・タイルカーペット・毛足の短いカーペット:
防滑性には優れていますが、粗相をした際のニオイ残りや、ダニ・ホコリの蓄積が懸念されます。チリやホコリを除去しやすいフローリングと比較すると、衛生管理の難易度は上がります。
近年はペットも室内飼いが主流になり、散歩以外は室内で過ごす犬がほとんどです。こうした傾向を受け、ペットはもちろん、共に暮らす家族の健康を第一に考えるのなら、床材にもできるだけ配慮をしたいと考える人は少なくありません。
そうした中で、天然木のフローリングは意匠性が高い点に加え、犬にとっても人間にとっても快適性が極めて高い床材です。犬と人の両方が快適に暮らせるように、見た目と機能のトレードオフを解消する選択肢として、今、天然木が見直されているのです。
滑り止めとして、特殊なコーティングを既存の床に塗る方法もあります。ただコーティングは手軽ですが、数年ごとの塗り替えが必要だったり、光沢が強すぎてインテリアを損なったりすることがあります。
一方、犬専用のフローリングなら、基材から塗装まで一体設計されているため、効果が長持ちし、木の質感も損なわれません。

愛犬家にとって安全で意匠性に優れ、小型犬との生活を想定して作られた木のフローリングは理想かもしれません。そのようなフローリングの代表格が、当社が自信を持っておすすめする「Live Natural for Dog」です。
ペット向けをうたうフローリングの多くは、表面を凹凸化するなどの加工が施されており、犬が歩行する時に滑りにくく仕上げています。しかし凹凸化は、天然木のなめらかな質感を損なってしまうのが難点です。
その課題を解決したのが、塗料メーカーと共同開発した強靭な樹脂による特殊塗装です。これにより、肉球が床をしっかりグリップでき、防滑性をアップさせました。しかも、小型犬に優しい床材でありながら、見た目は極めて自然な風合いを維持しています。
滑りにくいフローリングのほとんどが印刷シート仕上げであるのに対し、「Live Natural for Dog」は天然木仕上げです。意匠性が高く、自然派の方でもご満足いただける天然木ならではの温かみが特長です。
また、「抗ウイルス性能」「抗菌性能」「耐薬品性能」「耐汚染性能」「室内空気環境性能」の5つの衛生性能を備えたハイジェニック仕様と、意匠性・機能性を兼ね備えたフローリングのため、安心して使用することができます。

大切な家族であるペットが毎日安全で快適に暮らすためには、床材を変更するだけでなく、日々の暮らしをトータルで考えてケアすることも欠かせません。
まずフローリングの滑りをケアするために、足裏の毛をカットすることを習慣化しましょう。犬の肉球の役割は、衝撃吸収とグリップ力にあります。毛が伸びているとこれを最大限活かすことができません。
さらに、乾燥して硬くなった肉球は滑りやすいため、専用のクリームで保湿し、弾力を持たせてあげることも有効です。
どんなに滑りにくさに配慮したフローリングでも、ソファやベッドからの飛び降りは足腰に大きな衝撃を与えます。特に元気な犬ほど、怪我のリスクが高まります。実際、とても活発なジャックラッセルテリアは、パテラになりやすいと言われています。
小型犬を迎えるための部屋づくりでは、スロープを設置するなど、垂直方向の移動負荷を減らす工夫が必要です。
犬と人の両方が快適に暮らせるように、床材を選ぶときは、滑りにくく犬の足腰に優しいことに加え、お掃除やお手入れしやすい製品を選びたいものです。ただ一般的なフローリングはペットにとって滑りやすく不安定な床材であることが多いため、転倒や関節疾患には十分注意する必要があります。
当社の「Live Natural for Dog」を使うことによって、足腰にも優しい滑りにくいフローリングで愛犬も安心できるでしょう。人間にとっても、掃除のしやすさや意匠性の高さといったメリットを享受しながら、愛犬の健康を守ることができます。「犬の健康」か「木の質感」か、どちらかを諦める必要はありません。
愛するペットとの暮らしをより快適なものにするため、ぜひ人と犬の両方に最適な床材を取り入れてください。床材選びは、愛犬に贈る「一生の健康」そのものなのです。
■併せて読みたい
・小型犬を迎えるための部屋づくり。犬が滑らない床とは?滑るリスクも解説
・ペット用フローリングを知っていますか?木の床で愛犬と楽しく過ごそう

石川 美代子
犬の管理栄養士、動物ケアスタッフ、動物医療技術師、犬の美容師(トリマー)。卒業後は動物看護師として動物病院に勤務し看護業務に従事。現在はwebライターとして主にペット関連記事の執筆、ペット用品・記事の監修などを行う。