COLUMN #30
動物医療技術師 石川 美代子

この記事では、小型犬に多い関節疾患「パテラ(膝蓋骨脱臼)」について、膝蓋骨が外れる要因や主な症状、進行度(グレード)ごとの特徴を整理しながら解説します。特に、フローリング材の選び方が膝関節に与える影響について紹介し、歩行障害を防ぐための滑り止めを意識した床材選びの重要性を解説します。
さらに発症時の運動制限や動物病院の受診目安、肉球ケアや体重管理など日常の基本ケアまでをまとめました。愛犬の足腰と健康寿命を守るための早期発見のヒントと、生活環境改善による予防策を考えます。
<目次>
■パテラ(膝蓋骨脱臼)とは何か?小型犬に多い関節疾患の基礎知識
・膝蓋骨脱臼の定義としくみ:膝関節で起きる異常とは
・発症するとどうなる?症状・グレード分類と歩行障害のリスク
■どんな犬種がなりやすい?原因とリスク要因
・小型犬で発症率が高い理由:注意したい犬種一覧
・先天性 vs 後天性:膝蓋骨脱臼が起こる原因の違い
・肥満・運動不足・滑りやすいフローリング材など環境要因
■環境整備でできる予防対策
・滑りにくい床材・フローリング選びのポイント
・肉球ケア・爪の手入れ・体重管理で足腰の負担を減らす
・すでに発症してしまった場合:運動制限と動物病院受診の目安
■動画で納得!滑りにくい床が愛犬の健康寿命を延ばす
・フローリングの滑り止め対策と転倒リスク
・天然木の滑りにくい床「Live Natural for Dog」紹介
■愛犬と暮らすための“安心フローリング”選び
・なぜ滑りにくさが重要?足腰と健康を守る生活環境改善
・おすすめ床材:天然木×滑りにくい加工のフローリング材
・設置時の注意点とマット・カーペット併用の考え方
■まとめ:愛犬の膝を守るために今日から始めること
・症状が出る前の予防が鍵:早期発見と関節ケア
・床・運動・体重管理をトータルに行う生活環境改善のコツ
パテラ(膝蓋骨脱臼)とは、膝蓋骨が正常な位置から内側または外側に外れてしまった状態のことをいいます。膝蓋骨は太ももの骨とすねの骨をつなぐ膝関節の前面に位置する、いわゆる「膝のお皿」のことで、歩行やジャンプなどの動作を支える重要な役割を担っています。この膝蓋骨がズレると膝関節の動きが不安定になり、さまざまな症状が現れます。これは犬の代表的な関節疾患のひとつとしても知られています。
パテラの主な症状は膝の痛みや違和感です。発症すると、キャンと悲鳴のような声をあげて痛がる、スキップするような歩き方をする、うずくまるように歩く、後ろ足を地面につけることができないといった様子がみられます。こうした状態が続くと、日常の歩き方にも影響し、歩行障害につながるケースもあるため注意が必要です。

なお、本来「パテラ」とは膝蓋骨そのものを指す解剖学用語であり、厳密には病名ではありません。しかし日本では、「パテラ=膝蓋骨脱臼」という意味で広く使われており、獣医療の現場でも一般的な病名として認識されています。獣医師が説明する際にも膝蓋骨脱臼を指して「パテラ」という呼び方が用いられることが多いでしょう。
膝蓋骨脱臼は、症状の程度によってグレード1〜4に分類されます。
初期や軽度(グレード1〜2)では、日常生活で目立った症状が出ない場合も少なくありません。しかし、脱臼が繰り返されることで関節への負担が蓄積し、徐々に状態が悪化していく可能性があります。わずかな異状を見逃さずこの段階で早期発見につとめることが、その後の悪化を抑えるうえで重要なポイントとなります。
重度(グレード3〜4)になると正常な歩行が困難になり、痛みや跛行(はこう)※が常態化します。この段階になると保存療法では十分な改善が見込めず、外科手術による治療が必要となるケースもあります。少しでも気になる症状がある場合はできるだけ早めに動物病院で相談し、獣医師の診断を受けましょう。
※跛行:足や関節の痛み・異常により、歩き方が不自然に乱れる状態のこと

パテラはどんな犬にも起こりうる疾患ですが、特に小型犬は発症率が高い傾向があります。中でも、
• ポメラニアン
• トイプードル
• チワワ
• ヨークシャー・テリア
• フレンチ・ブルドッグ
• 小型テリア
といった犬種は、膝蓋骨脱臼になりやすいといわれているため、日頃から注意が必要です。日常の様子を観察し、歩き方の変化や痛がる様子が見られれば、早期発見につなげる意識が大切です。
■パテラになりやすい小型犬についてはこちらをご覧ください。
・ジャックラッセルテリアは活発ゆえにパテラになりやすい?
・ポメラニアンの性格と寿命は?走り回るのでパテラに要注意!
パテラの原因は、先天性と後天性の2つに大きく分けられます。
先天性の膝蓋骨脱臼は、生まれつき膝関節を覆う筋肉や骨の形に異常があることで発症します。たとえば膝蓋骨を納める溝(滑車溝(かっしゃこう))が十分に発達しない場合、歩行や運動の際に膝蓋骨が外れやすくなります。ポメラニアンやトイプードルなどの小型犬はこのタイプが多く、膝蓋骨が足の内側に脱臼するケースが一般的です。
一方、後天性のパテラは、交通事故や高所からの落下などの外傷がきっかけで発症します。
肥満による体重増加や運動不足は、膝関節への負荷を高める要因です。もちろん膝関節への負担だけでなく、日常の健康管理として食事や運動のバランスを整えることは重要です。
また、足や膝を強く打ったり、滑りやすい床の上を勢いよく走ったりすることは、膝関節に大きな負担をかける原因となります。特に一般的なフローリング材は表面が滑りやすく、犬は常に踏ん張りながら歩かなければなりません。これは日常的に膝へ負担が蓄積しやすい環境だといえるので、可能な範囲で生活環境改善を考えましょう。
一口にフローリングといっても、使用されている素材や表面加工によって滑りやすさは大きく異なります。表面が硬く平滑な加工の床材は、犬の肉球が踏ん張りにくく、歩行時に関節へ負担がかかりやすい傾向があります。一方で、滑りにくさを考慮した表面加工や素材設計が施された床材も存在します。
■念には念を!食事に気を付ける飼い主さんもいるようです
・パテラや関節ケアに必要な栄養素とは 愛犬のためのペットフードとサプリの選び方

前述のように、フローリング材の種類や表面加工の違いは、犬の足元の安定感に影響します。滑りやすいフローリングは歩行時にバランスを崩しやすく、関節へ余計な負担がかかるため、パテラの発症や悪化につながる大きな要因となりかねません。愛犬が過ごす空間にはできるだけ滑りにくい床材を選びたいものです。
部分的にマットやカーペットを敷くことも有効ですが、根本的な対策として床材自体を見直すことで、愛犬だけでなく、住む人にとってもより安全な住環境を整えることができます。住まいの安全対策として滑り止め性能を意識することには大きな価値があります。
爪や肉球の間の毛が伸びていると、床で滑りやすくなります。そのため、定期的なトリミングや肉球ケアを心がけることが大切です。また、体重管理や適度な運動も、関節への負担を軽減するために重要です。こうした日々の基本的なケアは、足腰を守り、長期的な健康維持にもつながります。
もし膝蓋骨が外れてしまった場合、時間が経つと関節に炎症が起こったり、骨や関節が変形したりする可能性があります。進行すると関節疾患としての重症化にもつながり得るため、放置しないようにしましょう。
軽度のパテラであれば、抗炎症薬の投与や体重管理、運動制限といった保存療法で症状の改善が期待できます。愛犬にパテラの疑いがある場合は、早めに動物病院を受診しましょう。必要に応じて、獣医師から、生活の工夫や運動量の調整、再発予防などについての指導を受けることもできます。
膝蓋骨脱臼のリスクを考えたとき、環境整備でまず手をつけたいのはやはり「床の滑り止め対策」です。滑りやすい床は歩行時にバランスを崩しやすく、転倒や怪我の危険があります。特にフローリングは常に踏ん張って歩く必要があり、犬の足腰に大きな負担をかけるでしょう。こうした対策は住まいの安全対策としても重要です。
■愛犬とフローリングの関係についてはこちらもご覧ください。
・犬の肉球の役割とは?肉球のお手入れでフローリングの滑りをケア
・ペットと床材の相性は?小型犬に木のフローリングがNGって本当?
・犬とフローリングにまつわる課題とは?愛犬をヘルニアから守ろう!
・トイプードルなど犬にとってジャンプは危険?犬の脱臼を引き起こすフローリングとは!
・ノーフォークテリアの魅力!ダブルコート犬特有の抜け毛とフローリングの関係
当サイトでは、天然木を使用した滑りにくい床「Live Natural for Dog」を採用されたお客様の声を、動画付きでご紹介しています。本製品は天然木の質感や見た目に加え、日常の健康維持や足腰への配慮という観点でも評価されることが多い床材です。
私たち人間と同じく、元気な足腰を維持することは愛犬の健康寿命を延ばすことにつながります。高齢期の寝たきりを防ぐためにも、日頃から滑りにくい環境づくりを意識しましょう。床選びは生活環境改善の重要な一部であり、住まい全体の安全対策につながります。
滑りにくいフローリングをお探しなら、「Live Natural for Dog」はいかがでしょうか。美しい天然木を使い、犬が滑りにくいよう加工を施した、ぬくもりあふれるフローリング材です。小型犬と暮らす多くのオーナー様にも選ばれています。新築だけではなく、リフォームを検討されているオーナー様にもおすすめです。
犬にやさしい、滑りにくさをプラスした天然木フローリング “Live Natural for Dog”

基本的には床材そのものの性能で十分安心できる設計となっていますが、必要に応じてマットやカーペットを併用することで、さらに安全性を高めることも可能です。住まいの動線や愛犬の行動範囲に合わせて生活環境改善を実施し、安全対策を積み重ねましょう。
膝蓋骨脱臼(パテラ)は特に小型犬に多く発症します。遺伝的要因が大きく、一度発症すると長期的に付き合っていく必要がある関節疾患なので、症状が出る前からの予防と早期発見が重要です。また適切な生活環境改善も愛犬の将来を大きく左右します。気になる変化があれば、早めに動物病院で相談し獣医師の指示を仰ぐと安心です。
生活環境の見直しに加えて肥満も膝への負担を増やすため、体重管理も欠かせません。関節ケアを意識した食事、ジャンプなど激しい運動を避けること、必要に応じた運動制限、そして滑りにくい床環境。これらを総合的に整えることで、愛犬がより安全で快適に過ごせる毎日につながります。とりわけ床の滑り止め対策やフローリング材の見直しは、足腰を守るための具体的な安全対策として有効です。

石川 美代子
犬の管理栄養士、動物ケアスタッフ、動物医療技術師、犬の美容師(トリマー)。卒業後は動物看護師として動物病院に勤務し看護業務に従事。現在はwebライターとして主にペット関連記事の執筆、ペット用品・記事の監修などを行う。