COLUMN #13
動物医療技術師 石川 美代子

愛くるしいトイプードルは平均寿命も長く、飼いやすい犬種だとされています。一方で、足腰のトラブルや衰えが、比較的早い段階で現れることもあります。とりわけ筋力が落ちた老犬にとって、室内の床での「滑り」はパテラ(膝蓋骨脱臼)など関節トラブルの悪化や、寝たきりにつながるリスクとなりかねません。
本記事では、トイプードルのシニア期に見られる足腰の衰えサインと、愛犬の歩行を守るために日常的に行えるケア、さらにQOLを高める安全な床選びについて詳しく解説します。

トイプードルは、一般社団法人ジャパンケネルクラブ(JKC)の人気犬種ランキングで2025年こそ僅差の2位になったものの、それ以前は15年連続1位を獲得していた、超がつくほどの人気犬です。体長と体高がほぼ同じスクエアな体つきに、くるくるとした巻き毛、黒くつぶらなアーモンドアイ。性格は欠点の少ない優等生タイプで、他人や他犬に対する接し方も友好的です。平均寿命は15年程度と長めで、初心者にも飼いやすい犬種だと言えるでしょう。頭が良く学習能力も高いため、しつけにあまり苦労しないのもトイプードルの魅力です。
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犬種や個体によっても差があるものの、一般的に小型犬や超小型犬は11歳以上で高齢期に入ります。運動能力が高く平均寿命も長めのトイプードルも、多くは10歳を超える頃に老化が始まります。トイプードルの10歳〜11歳は、人間の年齢に換算するとおよそ56〜60歳前後。まさに還暦を迎えるシニア期の入り口と言えるでしょう。
ぬいぐるみのように愛らしく、いつまでも子犬のようなトイプードルですが、内臓も骨格や筋力も年齢とともに衰えていきます。「まだ元気だから」と過信せず、10歳を過ぎれば老犬期を見据えた健康管理へとシフトしていく必要があります。
老犬の多くに見られる老化のサインには、歯の黄ばみ、歯周病、被毛のツヤがなくなる、目ヤニや耳垢が増えるなどがあります。また睡眠時間が増える、名前を呼んでもなかなか反応しないなどの様子が見られることもあります。
特に関節や骨格の衰えは、以下のような、歩き方や日常のちょっとした仕草に現れます。
・フローリングの上で立ち上がる際、後ろ足が外側に滑ってなかなか立てない
・歩くスピードが遅くなる、弾むような歩き方をしなくなりトボトボと歩く
・ソファやベッドなどの段差の手前でためらう、上がるのを諦める
・散歩を嫌がる、散歩の途中で座り込んでしまう
これらのサインが1つでも見られたら、愛犬の足腰の筋力が低下している、またはどこかに関節トラブルを抱えているのかもしれません。

活発で運動好きなトイプードルですが、足腰や関節は丈夫とはいえません。膝蓋骨脱臼(パテラ)や骨折、椎間板ヘルニアなどの傷病には十分に注意が必要です。
犬は気持ちがたかぶるとぴょんぴょんと飛び跳ねがちです。しかし四足歩行の犬にとって、垂直方向へのジャンプは足腰に大きな負担がかかります。足腰を痛めたり、思わぬ怪我を招いたりする可能性もあるため、体への負担を考えるとなるべく止めさせたほうが良いでしょう。
特にトイプードルのような小型犬や成長期の犬は足腰や関節が弱く、垂直飛びによるトラブルを起こしやすい傾向があります。繰り返すと、椎間板ヘルニアや膝蓋骨脱臼、骨折などにつながる場合もあるため、はしゃいでも、できるだけ飛び跳ねさせないように気をつけてあげましょう。
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トイプードルと暮らすにあたり、室内環境を整えることは重要です。特に注意が必要なのが「床材」です。多くの家庭では人気のフローリングですが、実はトイプードルにとっては危険な場合があります。一般的なフローリングには、どんなリスクがあるのでしょうか。
フローリングは掃除のしやすさや汚れ防止、艶出しなどを目的にコーティング(塗装)がされていることが一般的です。そのため塗装によっては、やや滑りやすい場合があります。
犬が若く健康なら、滑りやすいフローリング上でもバランスを保って走り回れるかもしれません。しかし筋力が衰えた老犬にとっては、「氷の上」を歩いているようなもの。少し動くだけでもツルツル滑り、姿勢を維持するだけで体力を消耗します。踏ん張りがきかない床は、弱った筋肉や関節に負担を与え続ける可能性があるのです。
老犬期におけるリスクの一つが、床でのスリップによる「転倒・骨折」です。シニア犬は骨密度が低下していることが多く、滑ってバランスを崩しただけで骨折することもあります。また、滑る床で関節をひねり、パテラ(膝蓋骨脱臼)やヘルニアを悪化させることもあり、そうすると激しい痛みから歩行を拒むようになります。
こうした骨折や関節疾患をきっかけに一気に運動量が落ち、そのまま「寝たきり」の状態へ移行してしまうケースも少なくなりません。
■パテラについては以下の記事で詳しく紹介していますので、こちらも併せてご覧ください。
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さらにトイプードルは、非常に賢く、状況を理解する能力が高い犬種です。「歩こうとすると足が滑って怖い」「自力でスムーズに立ち上がれない」という経験を繰り返すと、自分の体が思い通りに動かないことに強い不安や恐怖、精神的ストレスを感じるようになります。
そうなると表情から覇気が消え、動くこと自体を諦めて寝てばかりになるなど、心の健康(QOL)にも悪影響を及ぼす可能性があります。
トイプードルに限りませんが、老犬になっても自分の力で歩けることは心身の健康にとても役立ちます。そのために日ごろから行える足腰ケアのポイントを解説します。
トイプードルは活発で、豊富な運動量を必要とする犬です。特に若いうちは好奇心も強くて遊びたがりのため、十分に運動させないとストレスが溜まってしまいます。室内を荒らしたり、家具を噛んだりといったいたずらを防止するためにも、毎日30分から1時間程度の散歩は必要でしょう。
シニア期に入っても散歩は重要です。「歳をとったから」と散歩をやめると後ろ足の筋肉が衰えてしまいます。15〜20分程度、愛犬の歩調に合わせたゆっくりとした散歩を1日2回は行いましょう。外の空気を吸い、五感を刺激することは、認知症予防にも役立ちます。
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足腰のケアには体重管理も重要です。シニア期に入ると寝ている時間が増えるのに対し、代謝は落ちるので、若い頃と同じ食事量・内容のままでは肥満になりやすくなります。
体重の増加はトイプードルの細い足腰や膝関節(パテラ)、椎間板に、ダイレクトに負担を増やします。年齢や運動量の変化に合わせ、カロリーが調整されたシニア用のドッグフードへと少しずつ移行し、理想的な体型(くびれが維持されている状態)をキープしてあげることが、関節トラブルの最大の予防策となります。
<参考URL>
https://vetzpetz.jp/blogs/column/old-dog
トイプードルの被毛はシングルコートで、抜け毛はほとんどありません。ただし、もつれやすく毛玉になりやすいため、こまめなブラッシングが必要です。ブラッシングはできれば毎日行い、月に1回はシャンプーで汚れを落としましょう。垂れ耳で湿気が溜まりやすい分、こまめな耳掃除も欠かせません。
さらに忘れてはならないのが、「足裏の毛(肉球の間の毛)」のケアです。トイプードルは全身の毛が伸び続けるため、足裏の毛も放っておくとどんどん伸び、肉球を覆ってしまいます。肉球は本来、天然の“滑り止めゴム”のような役割を果たしていますが、毛で覆われると摩擦がなくなり、滑りやすくなります。
老犬になっても最低月1回は足裏の毛をバリカン等で短くカットし、乾燥して硬くなった肉球には専用の保湿クリームを塗って、グリップ力を維持してあげましょう。
愛犬が床で滑らないよう、気を遣っておられる方は少なくありません。ただ、どんな対策を取るかも重要です。滑り止め対策の選び方を解説します。
愛犬の滑り止めとして、ジョイントマットやクッションフロア、ラグ、カーペットなどを敷いている飼い主様は多いようです。手軽で防滑効果も高い方法ですが、注意点もあります。
・わずかな段差:後からマットを敷くことで部分的に段差ができたり、マットの端がズレたりめくれたりしていると、たとえ数ミリであっても、足を上げにくくなった老犬にはつまずきや転倒の原因になることがあります。
・衛生面・お手入れ:布製マットは繊維にトイプードルの毛やホコリが絡まりやすく、粗相をした際には染み込んでしまうため、こまめな清掃や洗濯、消臭・ダニ対策が必要です。
・見た目の問題:製品によってはインテリアに統一感がなくなり、洗練された美観が損なわれることがあります。
滑り止めとして敷物を敷くのは、あくまで「部分的な対策」にとどまりがちです。そこで注目されているのが、「犬用フローリング」です。部屋全体を犬用フローリングにリフォームすれば、どこを歩いても滑る心配がなく、敷物のズレや段差も解消されます。
またフローリングなら、粗相やヨダレなどの汚れもサッと拭くだけできれいになります。衛生的で、インテリアの美しさと愛犬の安全を両立することができます。
「Live Natural for Dog」は、美しい天然木を使った犬にやさしいフローリングです。独自の特殊な塗装技術により、天然木ならではのサラッとした極上の質感や美しい木目を生かしたまま、犬の肉球が止まりやすく踏ん張りやすい絶妙なグリップ力を実現。一般的な防滑・耐摩耗塗装にありがちな不自然なテカリやベタつきがないため、本物志向のインテリアを損なうことはありません。
さらに、消臭性能や衛生的な抗ウイルス機能も備わっており、シニア犬が多くの時間を過ごすリビングを安全で清潔な空間へと格上げします。
高齢になっても暮らしやすい環境を整えることで、愛犬が少しでも健康で長生きできるように工夫してはいかがでしょうか。犬にとって最適な“滑りにくさ”を追求し、抗菌・抗ウイルス性能も兼ね備えた「Live Natural for Dog」。「愛犬の足腰に優しい環境を整えたい」とお考えのオーナー様は、ぜひ導入をご検討ください。
「Live Natural for Dog」のフローリングをご採用のお客様から可愛い「トイプードル」の動画を投稿いただきました。
賢くしつけやすく賢い犬として知られるトイプードル。ぬいぐるみのような見た目で弾むように動く姿は、何とも可愛らしいものです。1日でも長く一緒に暮らすために、飼い方のポイントをまとめました。
まず、飛び跳ねを止めさせるため、興奮を抑えるしつけを行いましょう。愛犬が飛び跳ねようとした時は「おすわり」や「ふせ」、「まて」などをさせ、気持ちが落ち着くまで待ちます。上手にできたらご褒美をあげ、たくさん褒めてあげましょう。これを繰り返すことで、犬は「落ち着いていると良いことがある」と理解し、飛び跳ねる代わりにおすわりやふせなどの行動を取るようになります。
また人間と同じように、犬もシニア期に入ると体の様々な部分に不調が出やすくなるため、定期的に健康診断を受けることが大切です。加えてシニア期を迎えたトイプードルにとって、毎日の大半を過ごす室内環境は、その後のQOL(生活の質)や健康寿命の長さを左右します。しつけや日々のケアを行いつつ、床材を見直すことで、愛犬の足腰の健康を守ってあげましょう。
大好きな愛犬が10歳、15歳を過ぎても自分の足でしっかりと立ち、大好きな飼い主様のもとへ嬉しそうに歩いて来る未来のために。お家の床環境を見直し、天然木の魅力あふれる小型犬用フローリングで、愛犬とのより豊かで快適な生活を楽しむのはいかがでしょうか。

石川 美代子
犬の管理栄養士、動物ケアスタッフ、動物医療技術師、犬の美容師(トリマー)。卒業後は動物看護師として動物病院に勤務し看護業務に従事。現在はwebライターとして主にペット関連記事の執筆、ペット用品・記事の監修などを行う。